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液晶と有機ELが高画質化で競り合うテレビ用ディスプレイ(前編)福田昭のデバイス通信(423) 2022年度版実装技術ロードマップ(47)(2/2 ページ)

今回から、テレビ(TV)用ディスプレイの概要を紹介する。本稿では、TV用ディスプレイの市場予測と、ディスプレイ駆動TFTの種類を取り上げる。

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テレビ用パネルに不可欠な薄膜トランジスタ

 テレビ用に限らずフラットパネルディスプレイは、各画素の明るさを制御するスイッチング素子を必要とする。スイッチング素子にはふつう、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が使われる。ディスプレイパネルのTFT材料には主に、アモルファスSi(シリコン)、酸化物(IGZO(イグゾー):In-Ga-Zn-O化合物の一種)、LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicon:低温多結晶シリコン)、LTPO(Low Temperature Polycrystalline Oxide:低温多結晶酸化物)がある。

フラットパネルディスプレイ向けの主なTFT(薄膜トランジスタ)技術とその概要
フラットパネルディスプレイ向けの主なTFT(薄膜トランジスタ)技術とその概要[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

 大画面のパネルを要求するテレビ用では、液晶パネルがアモルファスSiのTFT技術、有機EL(OLED)が酸化物(IGZO)のTFT技術を採用していることが多い。アモルファスSi TFTは大面積化しやすい、コストが低いという利点があるものの、消費電力が高く、性能(電子移動度)が低い(TFTを小さくしづらい)。IGZO TFTは性能(電子移動度)が高く、消費電力が低いという特長を有する。

 なおLTPS TFTは、スマートフォンなどの中小型ディスプレイ(液晶およびOLED)に採用実績がある。LTPSは電子移動度が極めて高いという特長を有する。ただし製造工程で結晶化処理(レーザーアニール)を必要とするため、大画面になると均一性を維持しづらい。この問題により、大型ディスプレイパネルには使われていない。

⇒(後編に続く)

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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