券売機に触らず操作、並べて使える非接触センサー:屋外でも使用可能
日清紡マイクロデバイスは「SENSOR EXPO JAPAN 2023」で光学式タッチレスセンサー「NJL5830R」を展示した。隣接するセンサー間の干渉による誤動作を防止する機能を備え、券売機など複数のボタンが並ぶ機器のタッチレス操作を可能にする。
日清紡マイクロデバイス(以下、日清紡)は「SENSOR EXPO JAPAN 2023」(2023年9月13〜15日、東京ビッグサイト)で光学式タッチレスセンサー「NJL5830R」を展示した。隣接するセンサー間の干渉による誤動作を防止する機能を内蔵しているため、券売機やエレベーターなど複数のボタンが並ぶ機器のタッチレス操作を可能にする。
NJL5830Rは高輝度の赤外LEDと受光ICを面実装パッケージ(COBP)に組み込んだ反射型センサーで、日清紡がコロナ禍以降の「多くの人が触っている公共の場のボタンに触れたくない」というニーズに向けて開発したという。サイズは3.6mm×5.8mm×1.2mmで、「小型のため既存の押しボタンにも組み込みやすい」(同社担当者)とうたう。
複数個のボタンを並べられる「業界初」のセンサー
日清紡によると、従来の光学式タッチレスセンサーは、複数個を近接して並べた場合、センサー同士の干渉が発生し、誤作動を起こすという課題があった。NJL5830Rは赤外LEDに変調をかけ、センサー同士のパルス周期をずらすことで干渉を防止する「業界初の製品」(日清紡)だ。この干渉防止機能によって、券売機やエレベーターなどの複数のボタンが並び多くの人が使用する機器をタッチレス化でき、感染症対策や衛生管理に貢献するという。
ブースには近接する6個の非接触ボタンの下にNJL5830Rを搭載したデモ機が展示された。ボタンの前に指をかざすと誤作動することなく正しい位置のボタンが反応した。
NJL5830Rは光変調方式によって外乱光耐性を高めていて(外乱光許容照度は10000lux)、自動販売機など屋外に設置する装置にも使用可能だ。また、光学式のNJL5830Rは静電容量方式のセンサーと違い、手袋などを着けた状態でも動作する。そのため、医療用機器向けにも引き合いがあるという。日清紡マイクロデバイスの担当者は「医療現場や食品を扱う場に導入すれば、機器の操作のたびに手袋を交換する必要がなくなり、コストと時間を削減できる」と説明する。
NJL5830Rの検出距離は0〜50mmの範囲内で調整可能だ。ただ、複数のセンサーを隣接させて使用する場合は反射光が他のセンサーに入ってしまう可能性があるため、短距離設定の20mmを推奨している。また、光の透過窓があれば既存の押しボタンと同様の配線で使用できるという。
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