Intel、EUV採用「Intel 4」プロセスの量産開始:「Intel 3以降も順調」とコメント
Intelは2023年9月29日(アイルランド時間)、アイルランドの新工場を正式に開設し、同社として初めてEUV(極端紫外線)リソグラフィー技術を使用する最先端プロセス「Intel 4」での半導体の量産を開始したと発表した。
Intelは2023年9月29日(アイルランド時間)、アイルランドの新工場で、同社として初めてEUV(極端紫外線)リソグラフィー技術を使用する最先端プロセス「Intel 4」での半導体の量産を開始したと発表した。
Intel 4の量産を行うのは、Intelがこの日、正式に開設を発表した、アイルランド・リークスリップ拠点の新工場「Fab 34」だ。Intelは2019年から、同拠点に170億ユーロを投じ、Intel 4(旧7nmプロセス)対応工場としてFab 34の建設を進めていた。Intel 4のプロセス開発や初期生産については米国オレゴン州の開発ファブで行っていたが、量産対応工場としてはFab 34が初となる。なお、同新工場によって、アイルランド拠点の生産能力は2倍になるという。
Intelは、Intel 4で採用しているEUV技術について、「AI(人工知能)や高度なモバイルネットワーク、自動運転、新しいデータセンターやクラウドアプリケーションなど、最も要求の厳しいコンピューティングアプリケーションを支える最先端の半導体技術ノードに広く採用されている。EUVは、4年間で5つのノードを立ち上げ、2025年までにプロセス技術におけるリーダーシップを取り戻すという当社の目標に向けて推進する上で、重要な役割を果たしている」と説明している。
Intelが2023年9月19〜20日に米国で開催したカンファレンス「Intel Innovation 2023」において発表した「Core Ultraプロセッサ」(開発コード名:Meteor Lake)は、このIntel 4プロセスを採用する。Core Ultraは、Intelとして初めてAI処理を行うエンジンである「NPU(Neural Processing Unit)」を組み込んだチップで、IntelのCEO(最高経営責任者)であるPat Gelsinger氏は、「われわれは、『AI Everywhere』を目指している。そのためにはAIは大規模なクラウドに搭載するのではなく、エッジに、そしてPCに移動させる必要がある。この製品はそのキープロダクトであり、本当にあらゆる場所でのAIを可能にするものだ」と述べていた。
また、Intelのエグゼクティブバイスプレジデント兼技術開発担当ゼネラルマネジャーであるAnn Kelleher氏は、今後のIntel 3やIntel 20A、Intel 18Aの開発状況について、いずれも「順調に進んでいる」と述べたうえで、「Intel 18Aの完成後も、当社の開発は止まらない。われわれは基礎研究から開発まで、今後10年間の開発パイプラインを持っている。ムーアの法則に従えば、当社は2030年に、(パッケージ当たり)1兆個のトランジスタを実現させようとしている。これは決して容易ではないが、われわれはそれを達成する能力が十分にあると確信している」と述べた。
なお、Intelはドイツ、ザクセン・アンハルト州の州都マクデブルクに最先端の前工程工場、ポーランドに後工程新工場を建設する計画を発表している。Intelは今回の新工場が、これら2拠点と連携することで、「欧州初のエンドツーエンドの最先端半導体製造バリューチェーンの構築に貢献する」と述べている。
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