液晶と有機ELが高画質化で競り合うテレビ用ディスプレイ(後編):福田昭のデバイス通信(424) 2022年度版実装技術ロードマップ(48)(2/2 ページ)
前編に続き、テレビ(TV)用ディスプレイの概要を紹介する。今回は、有機ELディスプレイパネル、ローカルディミング用BLU LCDパネル、デュアルセル型LCDパネルを取り上げる。
テレビ用液晶パネルのコントラスト比を高めるローカルディミング
テレビ用液晶パネルでは、コントラスト比を高める技術の開発が進んでいる。一つは「ローカルディミング」技術、もう1つは「デュアルセル」技術である。
「ローカルディミング」とはバックライトLEDを複数のセグメント(ゾーン)に分割して駆動する手法を指す。コントラスト比の向上と、バックライトによる消費電力の削減という2つの利点がある。もちろん、バックライトの制御は複雑になる。
セグメント(ゾーン)の数を増やせば増やすほどローカルディミングの効果は高まる。パッケージLEDではおよそ数百ゾーンまでだったが、ミニLEDでは数百ゾーンから数千ゾーンに増加した。マイクロLEDでは数千から数万のセグメント数を容易に実現できる。
ローカルディミング技術の概要。左上はLEDの種類による光学距離(OD)とLED密度の違い。左下はLEDの種類とゾーン数の関係(例)。右はゾーン数とLED駆動方式(PMはパッシブマトリクス、AMはアクティブマトリクス)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
ローカルディミングのゾーン数を極限まで高めるデュアルセル
ローカルディミングの利点を極限まで高めてOLEDに近い画質を狙うのが「デュアルセル」技術である。通常のカラー液晶パネルと直下型バックライトの間に、白黒液晶パネルを挟んだ構造をしている。LEDアレイを分割駆動するローカルディミングよりも、はるかに多くのセグメント数(ゾーン数)を実現する。
例えばカラー液晶パネルの解像度が4K(3860×2160画素)の場合、白黒液晶パネルの解像度はFHD(Full High Definition)(1920×1080画素)にする。すると1920×1080イコール207万3600セグメント(ゾーン)のローカルディミングが原理的には可能になる。
有機EL(OLED)、デュアルセル(Dual Cell)液晶、ローカルディミング(LEDバックライト液晶)の総画素数(横軸)とセグメント数(ゾーン数)(縦軸)の関係[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
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