経産省、Micron広島工場に最大1920億円を助成:EUV露光を用い1γDRAMを生産
Micron Technologyの広島工場(広島県東広島市)は、経済産業省より最大1920億円の助成金を受け取ることに決まったと発表した。EUV(極端紫外線)露光を用いた1γ(ガンマ)DRAMの生産や、次世代広帯域メモリ(HBM4)の研究開発などに充てる。
1γノードを採用した次世代広帯域メモリなどの研究開発も
Micron Technology(以下、Micron)は2023年10月3日、広島工場(広島県東広島市)が、経済産業省より最大1920億円の助成金を受け取ることに決まったと発表した。EUV(極端紫外線)露光を用いた1γ(ガンマ)世代DRAMの生産や、次世代広帯域メモリ(HBM4)の研究開発などに充てる。
Micronは広島工場の設備増強に向け、2022年9月末には日本政府より最大465億円の助成金交付を受けると発表した。こうした支援もあり同工場では、2022年11月から1β(ベータ)DRAMの量産を始めた。2023年7月には、業界最速で最大容量の「HBM3E」についてもサンプル出荷を始めている。
今回支援を受ける助成金は、1γDRAMを生産するための設備投資や、1γノードを採用したHBM4および、生成系AI(人工知能)向けデバイスの研究開発などに充てる。
Micronのグローバルオペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるマニッシュ・バーティア氏は今回の支援決定について、「日本政府とのパートナーシップの継続を光栄に思う。(今後は)EUVを用いた1γ DRAMによる生産の取り組みと、AIアプリケーションに向けた次世代広帯域メモリの研究開発を加速させていく」とコメントした。
Micronは、あらゆるレベルの大学や学術機関との連携も積極で、研究資金を提供するなどSTEM(科学、技術、工学、数学)教育を推進している。2023年5月には、半導体人材の育成を目的とした共同教育イニシアチブ「UPWARDS for the FUTURE(半導体の未来に向けた人材育成と研究開発のための日米大学パートナーシップ)」を、日米の11大学とのパートナーシップにより創設した。
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