ルネサス、エッジコーティックスと戦略的提携:AI/ML開発の時間とコストを低減
ルネサス エレクトロニクスは、エッジAIソリューションを提供するEdgeCortix(エッジコーティックス)に出資した。今回の戦略的提携によってルネサスは、エッジコーティックスが保有する技術を組み合わせ、エネルギー効率をさらに高めたAI/ML(機械学習)機能を提供していく。
エネルギー効率をさらに高めたAI/ML機能を提供
ルネサス エレクトロニクスは2023年10月4日、エッジAIソリューションを提供するEdgeCortix(エッジコーティックス)に出資したと発表した。今回の戦略的提携によってルネサスは、EdgeCortixが保有する技術を組み合わせ、エネルギー効率をさらに高めたAI(人工知能)/ML(機械学習)機能を提供していく。
ルネサスは、産業機器や家電製品、自動車などにAI機能を搭載するための組み込みプロセッサや、AIモデルを自動生成するReality AIソフトウェアなどを提供している。一方、EdgeCortixは、マルチハードウェアプラットフォーム対応のコンパイラソフトウェアフレームワーク「MERA」や、実行時に再構成可能でスケーラブルなニューラルネットワークプロセッサIP「Dynamic Neural Accelerator(DNA)」および、電力効率の高いエッジAIコプロセッサ「SAKURA」という3製品を展開する。
EdgeCortixによればこれら3製品を組み合わせることで、高解像度カメラやセンサー、自律制御ロボットシステムなどにおいて、高度なエッジAIのリアルタイム処理を実現できる。実際に既存のGPUやCPUと比較して10倍以上の処理性能と、最大50倍のエネルギー効率を達成したという。
ルネサスの執行役員常務兼エンベデッドプロセッシング・デジタルパワー&シグナルチェーンソリューショングループでジェネラルマネジャーを務めるSailesh Chittipeddi氏は、「ルネサスの組み込みプロセッサやReality AIソフトウェアと、EdgeCortixのソリューションを組み合わせると、アーキテクチャーが異なる場合でも、AIコードをシームレスに変換でき、開発リスクおよび開発の時間とコストを低減できる」とコメントした。
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