デンソーと三菱電機、米社のSiC事業に計10億ドルを出資:Coherentが発表
米Coherent(コヒレント)は、分社化を予定しているSiC(炭化ケイ素)事業会社に対し、デンソーと三菱電機の2社が総額10億米ドル(約1500億円)を出資することで合意した。2社は長期にわたって、SiC事業会社よりSiCウエハーの調達が可能となる。
150/200mmのSiC基板、エピタキシャルウエハーを調達
米Coherent(コヒレント)は2023年10月10日、分社化を予定しているSiC(炭化ケイ素)事業会社に対し、デンソーと三菱電機の2社が総額10億米ドル(約1500億円)を出資することで合意したと発表した。2社は長期にわたって、SiC事業会社よりSiCウエハーの調達が可能となる。
コヒレントは、20年以上も前からSiC材料事業に取り組んできた。2023年5月にはSiC事業について包括的な戦略を見直した。今回の分社化や出資受け入れもその一環である。今回の契約は、2024年第1四半期に完了する予定で、コヒレントは、それまでにSiC事業を子会社として分社することになっている。
デンソーと三菱電機は、分社したSiC事業会社に対し、それぞれが5億米ドルを出資。これと引き換えにコヒレントは、非支配株主持分としてそれぞれに12.5%譲渡する。残りの75%はコヒレントが保有し、SiC事業の経営と運営を担当する。なお独立したSiC事業会社は、コヒレントのエグゼクティブバイスプレジデントでニューベンチャー&ワイドバンドギャップ・エレクトロニクス技術統括責任者のソハイル・カーン氏が引き続き統括する。
SiC事業会社は、今回の投資を受けて設備投資計画を前倒しする。具体的には直径150mmや200mmのSiC基板および、エピタキシャルウエハーの製造能力を拡張する予定である。
コヒレントの会長兼CEOを務めるビンセント・マッテラ氏は、「戦略的パートナーからの投資によって、SiC生産能力増強計画を加速させる。このことは、業界におけるリーディングポジションの維持につながる。同時に、電気自動車(EV)に向けた SiCパワーエレクトロニクス需要が世界的に急増する中で、拡張可能な基板の安定供給を実現できる」とコメントした。
デンソーの林新之助社長は、「今回の出資を通じて、BEV(Battery Electronic Vehicle)に必要不可欠なSiCウエハーの安定調達を実現。BEVを普及させることで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきたい」とコメントした。
さらに、三菱電機の上席執行役員で半導体・デバイス事業本部長を務める竹見政義氏は、「熊本県泗水地区における200mmウエハー新工場棟の建設をはじめ、当社はSiCパワーエレクトロニクスの生産体制強化に向けた投資を決定している。今回の出資によって、高品質SiC基板の安定調達が可能となる」とコメントした。
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