安い、早い、簡単! 地図がいらない自律走行ロボット:障害物を避けながら進むだけ
ロームは「CEATEC 2023」(2023年10月17日〜20日、幕張メッセ)にて、地図を使わずに目的地に向かう自律走行ロボット技術「NoMaDbot」を展示した。従来の自律走行ロボットと比較して低コストかつ短期間での導入が可能だという。
ロームは「CEATEC 2023」(2023年10月17日〜20日、幕張メッセ)にて、地図を使わずに目的地に向かう自律走行ロボット技術「NoMaDbot」を展示した。従来の自律走行ロボットと比較して低コストかつ短期間での導入が可能だという。
低コストですぐに導入できるシンプルな自律走行ロボット
従来の自律走行ロボットには、地図をベースにした走行技術であるSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術が搭載されている。環境を計測するセンサーを用いて環境地図の作成と自己位置の推定を行うことで目的地に向かうもので、走行コースが指定できるなど高性能だ。しかし、システム構築には専門の知識を持った人材が必要で、人件費やソフトウェアへの投資が高額になるほか、導入までに数カ月を要するため、「一部の大企業以外が活用することは難しかった」(開発担当者)という。
一方、NoMaDbotは「No Map Driving Robot」を意味し、その名の通り地図を使わずに自律走行するロボット技術だ。目的地の判定にはBluetooth 5.1の方向検知機能を利用している。目的地に単一の発信機を置いて方向検知信号を発信し、ロボット本体に搭載された複数個のアンテナがそれを受信する。発信機と各受信機との距離から方位を判定し、目的地に真っすぐ向かう仕組みだ。
障害物の回避は超音波を用いた反響定位技術で行う。ロボット本体から超音波を発信し、反響から空間把握を行って障害物を回避する。
「NoMaDbotの走行ではどこを走るかが決まっているわけではなく、昆虫のように目指す方向だけを知っていて、あとはその場の判断で障害物を避けていく」(開発担当者)
シンプルな構造で、専門知識のあるエンジニアがいなくても「買ったその日にボタン1つで動かせる」(ローム)ため、導入費用や期間は大幅に抑えられる。
NoMaDbotならではのコスト以外のメリットは、レイアウト変更にも柔軟に対応できることだ。従来の自動走行ロボットはレイアウトが地図通りでなくなると走行できなくなるが、NoMaDbotは単にその場の障害物を避けながら進むので影響を受けない。レイアウトが頻繁に変わる物流倉庫や催事場、建設現場などで強みを発揮できるという。NoMaDbot単体で使用するだけでなく、レイアウト変更でSLAM搭載ロボットが自己位置を見失った際のサポートとして使用することも可能だ。
導入のハードルが低いことから、倉庫やオフィス以外の場所でも活用の可能性があるという。例えばショッピングモールの買い物カートに受信機を着けておけば、買い物客が使用後に駐車場からカート置き場まで自動で返却することができる。また、目的地となる発信機が移動していればそれを追ってカルガモ走行をするので、テーマパークのパレ―ドなどでダンサーの後ろをキャラクターに追わせるというような使い方も考えられる。
ブースで説明を行った開発担当者は「コストの高さや人材確保の難しさから自動走行ロボットを導入できていない企業は、まずNoMaDbotを試してもらいたい。ロボットで業務が効率化できると実感してから、SLAM搭載のより高性能なものに投資してもらうという方法もある」と語っていた。
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