「富岳」が2部門で8期連続の1位を獲得:AIなどの計算性能でも上位に
理化学研究所(理研)と富士通が共同開発したスーパーコンピュータ(スパコン)「富岳」は、スパコンの性能を示す「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」と「Graph500」の2部門において、8期連続で世界ランキング1位を獲得した。
世界最高水準の性能を備えたスパコンであることを実証
理化学研究所(理研)と富士通は2023年11月14日、共同開発したスーパーコンピュータ(スパコン)「富岳」が、スパコンの性能を示す「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」と「Graph500」の2部門において、8期連続で世界ランキング1位を獲得したと発表した。同様に、「TOP500」部門では4位、「HPL-MxP」部門では3位となった。これにより、「富岳」が世界最高水準の性能を備えたスパコンであることを実証した。
今回の世界ランキング結果は、米国コロラド州デンバーの「コロラド コンベンションセンター」およびオンラインで開催された「HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に関する国際会議「SC23」で発表された。
HPCGは、産業向け用途で用いられる共役勾配法の処理速度を競うランキングである。今回の測定では、432筐体(15万8976ノード)を用いて、ベンチマークスコア16.00PFLOPSを達成した。2位になった米国の「Frontier」と比べ、約1.1倍の性能差である。
Graph500は、大規模グラフ解析に関する性能ランキングで、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析で重要な指標になるという。今期から研究メンバーにNTTが加わるなどして、処理性能を向上させた。Graph500の測定では、全体の約95.7%に相当する15万2064ノードを用いた。これにより、「約4.4兆個の頂点と70.4兆個の枝」で構成される超大規模グラフに対する幅優先探索問題を平均0.51秒で解いた。「Graph500」のスコアは138867GTEPSで、2023年6月時点に比べ、性能を1771GTEPS向上させたという。
TOP500は、行列計算による連立一次方程式の解法プログラムである「LINPACK」の実行性能を指標にしたランキング。今回は、432筐体(15万8976ノード)の構成で、LINPACK性能は442.01PFLOPS、実行効率は82.3%となり、世界4位となった。
「HPL-MxP」(旧名称:HPL-AI)は、AIの計算などに用いられる単精度や半精度演算器などの処理能力も加味した計算性能を評価する指標である。今回は、432筐体(15万8976ノード)を用い、世界3位となる2.004EFLOPSのスコアを記録した。
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