「ISSCC 2024」過去最高の投稿論文数、採択論文数最多は中国:韓国、採択数で2位の米国に迫る勢い(2/2 ページ)
半導体と電子部品の国際学会「ISSCC 2024」に投稿された論文は過去最多の873件だった。採択された234件のうち148件がアジアからの投稿で、最多は中国の69件だった。
採択数は中国が最多、アジアの増加傾向は続く
地域別の投稿論文数はアジア(ISSCCではFE[Far East]と表記される)が556件と最多で、前回の391件から大きく増加した。ISSCCは国ごとの投稿論文数の内訳を明らかにしていないが、宮地氏は「特に中国と韓国からの投稿が増加したと予想される」と述べた。なお、アジアには日本、韓国、台湾、中国、マカオ、香港、シンガポール、インドが含まれる。
採択数でもアジアは増加傾向で、全体の63%を占める148件と過去最高だった。減少傾向にある北米は57件で、例年比で大きく落ちこんだ前回と比較すると15件増加したものの、過去の水準には戻っていない。欧州は同3件増の29件だった。
国別の採択論文数をみると、中国が69件で2023年に続き最多となった。2位は米国で52件だった。3位の韓国は49件と過去最多で、米国に迫る勢いだ。宮地氏は「国の規模を考えると、韓国の採択論文数はすさまじい」と語った。
中国をけん引したのはマカオ大学と清華大学で、いずれも10件以上の論文が採択された。韓国はSamsung Electronicsと韓国科学技術院(KAIST)が件数に貢献した。韓国の採択論文数増加について、宮地氏は「KAISTには博士課程の学生なども多く参加している。兵役の免除制度が関係していると聞いている」と説明する。
日本からは11件採択、最多はメモリ領域
日本からの採択論文数は11件で前回より1件増加したものの、20件以上が採択された2015〜2016年の水準からは大きく減少し、約半分まで落ち込んでいる。今回、日本で複数件の論文が採択されたのはルネサス エレクトロニクスと東京工業大学で、いずれも2件採択された。他に産業技術総合研究所、信州大学、TSMCデザインテクノロジージャパン、マイクロンテクノロジー、NTT、村田製作所、慶應義塾大学からは各1件が採択された。日本の採択論文11件のうち最多の4件がメモリ領域のものだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- インドの輸入規制が暗示する、中国テック産業の行く末
インドは2023年8月、突然、貿易規則を変更し、PCやタブレット端末メーカーに対し、同国内に製品を持ち込む際の輸入許可を取得するよう義務付けた。こうした国産技術の採用拡大に向けた動きは、中国にとってさらなる打撃となるだろう。 - 世界半導体市場が7カ月連続で回復、SIA
米国半導体工業会によると、2023年9月の世界半導体売上高は前月比1.9%増の448億米ドルで、同年3月から7カ月連続で前月比増を記録したという。 - 「半導体産業のハブ」として半世紀、さらなる地位向上を狙うマレーシア
マレーシアは、半世紀にわたり「半導体産業のハブ」としての地位を築いてきた国だ。そのマレーシアで、工場投資が活発になっている。米中対立が激しくなる中、マレーシアには新たなチャンスが訪れている。 - 世界の前工程ファブ装置投資、2024年には回復へ
SEMIは、前工程ファブ装置の世界投資額について、「2023年は減速するものの、2024年には回復する」という見通しを発表した。その理由として、「半導体デバイスの在庫調整が終了」したことや、「メモリ需要の回復」を挙げた。 - 投稿論文が激増した「VLSIシンポジウム2023」、シンガポール国立大が台頭
2023年6月に京都で開催される「VLSIシンポジウム2023」。ようやく、本格的なリアル開催が戻ってくるようだ。本稿では、デバイス分野のTechnologyおよび、回路分野のCircuitsそれぞれについて、投稿/採択論文数の分析を行う。