2nm GAA、7nm FD-SOIなど最先端ノードの産業化に挑むEU:imec、CEA-Leti、Fraunhoferで(2/2 ページ)
EUは欧州半導体法の一環として、最先端ノードの製造プロセスを産業化すべく、少なくとも3つのパイロットラインを構築する。imecで2nm以細のGAAプロセス技術開発を、CEA-Letiで10nm以降のFD-SOIプロセス技術を、Fraunhofer Instituteでヘテロジニアスシステムインテグレーションを手掛けていくという。
既に1000億ユーロ超規模のプロジェクトが進行中
Breton氏は、「われわれの使命は、欧州内で全てを行うのではなく、戦略的自立(Strategic Autonomy)を維持することにある。今後、プロジェクトが続々と登場する予定だ。現在欧州では、1000億ユーロ超規模の65件のプロジェクトが進行中だ」と述べている。
EUは欧州半導体法の一環として、「欧州半導体イニシアチブ(Chips for Europe Initiative)」に基づき、今後7年間で110億ユーロを投じる予定だ。また、最先端ノードサイズの製造プロセスを実用化すべく、少なくとも3つのパイロットラインを構築する。1つ目はimecで、2nm以細のGAA(Gate-All-Around)プロセス技術開発を行い、2つ目はCEA-Letiで10nm以降のFD-SOIプロセス技術を、そして3つ目は、Fraunhofer Instituteでヘテロジニアスシステムインテグレーションを手掛けていくという。
現在EUでは、「欧州半導体法を活用し、世界半導体業界にイノベーションをもたらすべく、必ずしも半導体製造に限らず、最先端半導体設計のチャンピオンになることを目指す必要がある」という声が多く上がっているという。しかしBreton氏は、その中には入っていない。
同氏は、「私がはっきりさせておきたいのは、工場なしに産業政策はあり得ないという点だ。『工場を持たない企業』という神話は、近代世界では決してうまくはいかない。われわれはパートナーたちと引き続き協業しながら、このような再工業化をサポートしていく考えだ」と述べる。
詳細に関してはさまざまに意見が異なるかもしれないが、常にEUの公共の利益を守るという点で一致している。Breton氏は、「欧州は、その運命を自らの手に取り戻さねばならない」と結論付けた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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