Wi-Fi 6E/7向け無給電素子結合デバイスを量産:アンテナの高効率化と小型化を両立
村田製作所は、無線LAN規格であるWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)/7(IEEE 802.11be)向けアンテナの高効率化と小型化を可能にする「無給電素子結合デバイス」を開発、量産を始めた。PCやタブレット端末、スマートフォン、Wi-Fiルーターなどの用途に向ける。
2つのコイルを近接配置した小さいトランス状の構造で実現
村田製作所は2023年12月、無線LAN規格であるWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)/7(IEEE 802.11be)向けアンテナの高効率化と小型化を可能にする「無給電素子結合デバイス」を開発、量産を始めた。PCやタブレット端末、スマートフォン、Wi-Fiルーターなどの用途に向ける。
最新の無線LAN規格である「Wi-Fi 6E」や、次世代規格の「Wi-Fi 7」では、通信の品質や速度を向上させるため、複数個の内蔵アンテナを用いる必要があるという。一方で、ノートPCなどでは実装できるスペースが縮小していて、アンテナの小型化が求められている。しかし、小型化すると広帯域での効率が悪くなるという課題もあった。
新製品は、独自のセラミック多層技術を活用し、これまでの課題を解決した。2つのコイルを近接配置したトランス状の構造で、外形寸法は1.0×0.5×0.35mmと小さい。コイル間の強い結合によって、無給電素子を給電アンテナに強く電磁界結合させた。これにより、小型化しても効率の高いアンテナを実現できるという。
また、新製品を用いることでアンテナのマッチングを改善できる。このため、通信回路との接続に長いケーブルを用いても、通信性能の低下を抑えることができるという。
今回用意した新製品は、Middle/High Band用の「LXPC15AHA1-001」、Middle/High Band用ミラータイプの「LXPC15AHR1-002」、Low Band用の「LXPC15ALA1-003」、Low Band用ミラータイプの「LXPC15ALR1-005」、Sub6 Band用の「LXPC15AUA1-008」、Sub6 Band用ミラータイプの「LXPC15AUR1-009」、Wi-Fi 6E用の「LXPC15AWA1-012」および、Wi-Fi 6E用ミラータイプの「LXPC15AWR1-013」である。
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