センサー製品群「XENSIV」を次なる中核事業へ、インフィニオン:パワー半導体だけじゃない(2/2 ページ)
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは2023年11月30日、センサーブランド「XENSIV(センシブ)」の拡販に向けた戦略説明会を実施した。注力する4つのセンサー市場の今後5年間における平均CAGR17.1%を上回る成長を実現し、センサー事業の中核事業化を目指す。
XENSIVの6製品のデモを展示
インフィニオンは、XENSIVの中から、MEMSマイクロフォン、CO2センサー、3D磁気センサー、レーダーセンサー、3D ToFセンサーの5製品と、開発中の超音波式MEMSタッチセンサーのデモを展示した。
MEMSマイクロフォンでは、オフライン音声認識のデモを展示した。同技術は、起動のためのキーワードと、コマンドおよびコマンドを認識するためのキーワードを事前に設定して使用する。キーワードおよびコマンドの登録は、パートナー企業であるCyberonが提供するツール上で、テキストを入力するだけで完了する。言語は日本語や英語の他、複数言語に対応する。コマンドは約100個まで登録できるという。
担当者は、「『Google Home』や『Alexa』などと違い、エッジで情報処理できることが特長だ。一方で、コマンドの実行には事前の設定が必要なため、用途は、照明の点灯/消灯や明暗調整など、必要な動作がある程度固定されているものを想定している」と説明した。
CO2センサーは、光音響分光法(PAS)を採用したセンサーだ。標準法となっている非分散型赤外線吸収法(NDIR)方式のセンサーと同等性能を維持した上で、サイズを4分の1(14×13.8×7.5mm)に小型化した。なお、担当者によると「赤外光源や光学フィルターなど、同センサーに使われている部品は全てインフィニオン製だ」という。用途は、エアコンやスマートビルディングなどを想定している。
3D磁気センサーは、磁気を使用した非接触測定により、摩擦による摩耗が起きないため、高い耐久性を実現している。また、Wakeup機能を備えているため、使用時のみアクティブ化することで、静止時の待機電力を最小限に抑えられるという。
電源電圧は3.3Vで、I2Cのインタフェースを備える。パッケージは、1.13×0.93×0.59mmの小型パッケージを採用。用途は、ゲーム機のコントローラースティックやウェアラブル機器などを想定している。
60GHzレーダーセンサー「BGT60TR13C」は、6.5×5.5mmの小型サイズでありながら出力アンテナを1つ、入力アンテナを3つ内蔵していて、最小2cm幅の動体検知が可能だ。スマートフォンなどにも内蔵できるため、機器のデザイン性を維持し、プライバシーなども守りながらセンシングできる。
3D ToFセンサーは、センサーから照射した光が対象物に当たり、反射して戻ってくるまでの時間から距離を計測する技術だ。通常は、室外では太陽光の干渉を受けるため、ToFセンサーの活用が難しい。一方、インフィニオンの製品は、屋外でも5〜6m先まで測定可能だ。デモでは、距離の違いによって色分けしてモニターに表示していた。3D/2Dの切り替えも自由に行える。用途は、お掃除ロボットなどの民生機器や自動車の車内モニタリングなどを想定している。
超音波式MEMSタッチセンサー「CMUT(Capacitive Micromachine Ultrasound Transducer)」は、従来のタッチセンサーで使われている静電容量式(Capacitive)と磁界式(Inductive)の“いいとこ取り”を実現するセンサーだ。静電容量方式センサーは非接触で指などを検知するので、接触圧力は検知できない。一方の磁気方式センサーは、接触圧力を検知できるが、表面材料の材質や厚みに制限がある。
CMUTは接触圧力の検出が可能な上に、表面材料は金属や樹脂、木材などに対応していて、厚さも1〜10mmの範囲で調整できる。現在は、開発検討段階の技術で、用途は自動車のインストルメントパネルや、スマートフォンの側面センサーなどを想定している。
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