ウエハーの透過検査デモ実演、ソニーが532万画素SWIRイメージセンサーを初展示:可視光とSWIRを1台で撮像
ソニーセミコンダクタソリューションズは「SEMICON Japan 2023」にて、有効約532万画素の産業向けSWIR(短波長赤外)イメージセンサー「IMX992」を展示した。IMX992は2023年11月に発表した新製品で、現物の展示は初。
ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13〜15日、東京ビッグサイト)にて、有効約532万画素の産業向けSWIR(短波長赤外)イメージセンサー「IMX992」を展示した。IMX992は同社が同年11月に発表した製品で、現物の展示は初めて。2024年2月にサンプル出荷を予定している。
微細/多画素で可視光にも対応
SWIRイメージセンサーは、非可視光であるSWIR(波長帯域900nm〜2500nm)の特性を利用するものだ。産業分野では一部の物質を透過する特性を用いた透過検査などで活用されている。
中でもSSSのSWIRイメージセンサーは、微細/多画素を特長としている。従来のSWIRイメージセンサーでは、受光部のフォトダイオードを形成するInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層と、読み出し回路を形成するSi(シリコン)層との接合に、金属の球で接続するバンプ接続を用いていた。バンプ接続のSWIRイメージセンサーで画素を小さくするにはこの金属の球を狭いピッチで正確に並べる必要があるが、技術的な難しさから微細化が進んでいなかった。対してSSSのSWIRイメージセンサーでは、バンプ接続ではなく独自のCu-Cu接続を用いる積層技術を採用。これにより画素ピッチの縮小が可能となり、微細かつ多画素のSWIRイメージセンサーが実現したという。
さらに、可視光での撮像にも対応している。Cu-Cu接続を用いたことでInGaAs層とSi層を高精度でつなぐことが可能になって安定性が向上し、可視光を吸収する特性がある表面のInP(インジウム・リン)層も薄く削ることができるようになったためだ。
SSSはこれまでにもSWIRイメージセンサーを商品化しているが、産業機器が高度化する中で、より高解像度かつ高感度なセンサーのニーズが出てきたことから、さらに微細化/多画素化を進めてIMX992を開発した。IMX992の画素サイズは3.45μm角、イメージサイズが1/1.4型(対角11.4mm)で、有効画素数は「業界最多」(同社)の約532万画素だ。
シリコンウエハーの透過検査デモを展示
ブースでは、回路を形成したシリコンウエハーの透過検査デモが展示された。ウエハーをSWIRイメージセンサーで撮影すると、Siの部分は透過して白く見え、回路の部分だけが黒く見えるので、回路の欠けや傷を発見できる。
デモ展示では、2020年に発表した有効約134万画素の既存製品「IMX990」との比較を行っていた。IMX992で撮影した画像ではIMX990と比べて、より広範囲かつ鮮明に回路を確認することができた。
半導体製造ライン以外での用途としては、煙を透過することから火事の際に逃げ遅れた人を探すことや、水に色がついて見えることから農作物の選別などにも使用できるという。
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