BoschやInfineon、NXPなど半導体大手5社によるRISC-V新会社が始動:車載向けをターゲットに
Robert BoschやInfineon Technologies、NXP Semiconductors、Nordic Semiconductor、Qualcomm Technologiesら半導体大手の計5社が共同出資するRISC-Vベースのプロセッサ開発の新会社Quintaurisが2023年12月22日(ドイツ時間)、正式に設立された。まずは車載向けをターゲットとし、最終的にはモバイルやIoT(モノのインターネット)向けにも拡大していく方針だ。
Robert BoschやInfineon Technologies、NXP Semiconductors、Nordic Semiconductor、Qualcomm Technologiesら半導体大手の計5社が共同出資するRISC-Vベースのプロセッサ開発の新会社Quintaurisが2023年12月22日(ドイツ時間)、正式に設立された。同社は、「次世代ハードウェアの開発を可能にすることで、RISC-Vの世界的な普及を目指す」としている。
最終的にはモバイルやIoT向けへの拡大も
Quintaurisは、RISC-Vアーキテクチャをベースとした製品の商業化を加速させることを目的に、上記5社が共同で出資し設立した会社だ。この会社設立については、2023年8月に各社が発表(当時は社名は明かしていなかった)していたが、必要な全ての規制当局の承認を得て、2023年12月22日に正式に設立されることになったという。
Quintaurisは、同社の事業について、「互換性のあるRISC-Vベースの製品を可能にする単一の供給元となり、リファレンスアーキテクチャを提供し、業界で広く使用されるソリューションの確立を支援する」と説明。まずは車載向けをターゲットとし、最終的にはモバイルやIoT(モノのインターネット)向けにも拡大していく方針だという。
なお、2023年8月の発表時、Robert BoschおよびInfineon Technologies、NXP Semiconductorsは「RISC-Vを推進するイニシアチブがモビリティ市場を大きく前進させると確信している」「自動車分野におけるRISC-Vの可能性が最大限に発揮されるだろう」などと、車載分野での期待を述べていた。一方、Nordic SemiconductorはIoT分野、Qualcomm Technologiesはモバイル分野での期待を示していた。
Quintaurisの拠点はドイツ・ミュンヘンに設置。同社のCEO(最高経営責任者)には、自動車向け組み込み/接続ソフトウェア製品の大手サプライヤーElektrobitの元社長兼CEOであるAlexander Kocher氏が就任した。なお、同氏は以前には、WindRiverのバイスプレジデント兼自動車事業部門ゼネラルマネジャーを務めていた他、SiemensやInfineon Technologies、Continentalでも上級管理職などを経験している。
Kocher氏は「Quintaurisは、RISC-Vの優れた要素を統合して商品化することに重点を置き、次世代のハードウェア開発に画期的な革新性と拡張性を提供する。半導体業界でトップクラスの実績を有する企業5社の支援を受けることができたことは、長期的で持続可能な企業あり続けるというわれわれの野心を示すものだ。当社は、RISC-Vコミュニティーとの協力が大きな力になると確信している。今後、会社の規模を拡大し続けるとともに、エコシステムと協力して開発を加速し、より広範な半導体エコシステムのレジリエンスを高めていきたい」と語っている。
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