IPCベンダーからAI、ロボット、自動運転、5Gのソリューションベンダーへと飛躍するADLINK:ADLINKジャパン 代表取締役社長 眞鍋知晃氏
産業用PC(IPC)の大手ベンダーであるADLINKの日本法人、ADLINKジャパンの社長に眞鍋知晃氏が2023年11月に就任した。ADLINKの日本での事業立ち上げから関わった同氏は「ADLINKは、IPCの提供にとどまらずシステムレベルの提案ができるソリューションベンダーに変貌した。日本国内での技術サポート体制をさらに強化してソリューションを幅広く提案し、事業成長を実現したい」と抱負を語る。
台湾本社と同等の技術サポートを日本でも
――2023年11月に日本法人社長に就任されました。これまでのご経歴を教えてください。
眞鍋知晃氏 もともとITエレクトロニクス商社に勤めていて、20年ほど前になるが日本で初めてADLINKの商権を獲得する際の担当だった。その後、2007年のADLINKジャパン設立時に転籍し、営業部長などを務めてきた。7年ほどいったんADLINKから離れたが、ADLINK台湾本社、現社長からの指名があり、社長としてADLINKジャパンに戻ってきた。
――現状のADLINKの強みはどのあたりにあると思われますか。
眞鍋氏 日本で事業を立ち上げた20年ほど前は、品質面や商習慣といった部分でさまざまな苦労があったが、それも過去のこと。現在では、日本の顧客が求める品質水準を満たし、十分なサポートも提供できる体制が整った。昨今では、幅広いラインアップを誇る産業用PC(IPC)の提供だけでなくソフトウェアやクラウドサービスなども含めたさまざまなシステムを提供できる“ソリューション”が強みの一つに加わった。
――日本法人新社長としての抱負、事業方針をお聞かせください。
眞鍋氏 サポート力をさらに磨いていく。台湾本社と同等の技術サポートを日本国内で日本の顧客が求める方法で提供できるようにすることが目標だ。そのために人員増強などの投資を実施する。台湾本社も日本の産業機器市場は重要市場であると位置付けており、投資を約束してくれている。
事業方針としては、IPCの技術をベースにしたソリューションの展開を強化することで事業規模を拡大する。
AI、自動運転、ロボット、5G、ディスプレイパネル
――強化するソリューションとはどのようなものですか。
眞鍋氏 AI、自動運転、ロボット、5G(第5世代移動通信)、ディスプレイパネルという5つのソリューションが主になる。
産業機器市場でのAI活用が急速に広がる中で、あらゆる産業機器でのAIニーズに応えられるハードウェア製品を取りそろえ、ソリューションとして提供できる体制がある。Intel、AMD、Arm、NVIDIAという大手CPU/GPUベンダーとは上位のパートナーシップを締結し、製品を安定供給できる。特にAI領域で需要の高いNVIDIAとは最上位のパートナーシップを締結している。チップでの調達も可能なのでモジュールレベルからカスタム提供でき、ADLINKが独自に5年以上の長期で製品を供給することも可能だ。こうした点が評価され、AIソリューション関連のビジネスは大きく伸びている。
ロボット、自動運転ソリューションはAIソリューションをベースに、より完成されたシステムまで提供する。産業用ロボットだけでなく、人型ロボットなどのサービスロボットまでをターゲットにしている。大手電子機器受託製造企業のFoxconnと共同出資して自動走行搬送ロボット(AMR)メーカー「FARobot」を立ち上げたので、AMR自体を提供できる。タクシーやバスなどの特殊車両向けには自動運転システムを納入している。
――5G、ディスプレイパネルソリューションとはどのようなものですか。
眞鍋氏 ADLINKのOpenRAN/5Gソリューションは、O-RANベースの5G用基地局を従来よりも大幅に低いコストで構築できるものだ。ADLINKのIPCや高速応答性が特徴のロボット用アプリケーションフレームワーク「ROS(Robot Operating System)/ROS 2」の技術がベースになっている。
ディスプレイパネルソリューションは、資本提携を結んでいる大手液晶パネルメーカーAUOの液晶パネルとADLINKのIPCを組み合わせて提供するもの。
IPCとディスプレイはセットで使用されるケースが多い。双方を提供できるだけでなく、ディスプレイ一体型IPC製品のラインアップも充実してきている。
市況に左右されず、成長継続へ
――IPC製品の展開方針について教えてください。
眞鍋氏 品ぞろえの豊富さというADLINKの強みをさらに伸ばしていく。ラインアップの豊富さで好調なCOM Express規格準拠製品に加え、モジュール自体をハンダ実装するシステムオンモジュールの最新規格「OSM」準拠品のラインアップも強化している。OSMは、量産規模の大きな領域ではCOM Expressよりも低コスト化が見込める規格として普及が見込まれており、COM Express製品と同様にADLINKがリーダーシップを発揮していきたい。
IPCに付随するソフトウェアも拡充している。産業IoT(IIoT)のデバイス管理に必要な組み込みソフトウェア、クラウドサービスを包括的に提供する「EdgeGO」やソフトウェア定義のEtherCATモーションコントローラー「SuperCAT」など、IPCの利便性を高めるソフトウェアとツールを提供する。
――2024年の見通しをお聞かせください。
眞鍋氏 2024年は、2023年に引き続き中国経済の低迷など市況としては厳しい環境が続くだろう。しかし、ADLINKは2023年、AIやロボットなど新しいアプリケーション向けビジネスが好調で事業成長を果たすことができた。ソリューションを展開するAI、ロボット、自動運転、5Gという領域はいずれも市場規模が大きく、成長の余地も大きい。2024年もこうした新市場に新技術、新製品を投入し続けることで、市況環境に関係なく事業拡大を実現する。
提供:ADLINKジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年2月9日
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