半導体/電子部品通販サイト「CoreStaff ONLINE」を運営するコアスタッフは2024年、事業の飛躍的成長を目指して積極投資を実施する。2024年秋には現物流センターの約10倍の収容能力を誇る新物流センターを稼働させる他、2023年に稼働させたタイ倉庫などを活用して顧客の余剰在庫を保管して販売する「余剰在庫ビジネス」の海外展開も拡大。従業員のスキルアップも図り「2024年は、飛躍に向けて事業基盤をしっかり固めていく」と抱負を語るコアスタッフ社長の戸澤正紀氏に2024年の事業戦略を聞いた。
――2023年を振り返ってください。
戸澤正紀氏 半導体不足でパニックのような状態が続いた2021年、2022年の反動で、2023年は在庫調整が長引き、非常に厳しい環境だった。ただ、在庫調整については大部分が終わり、2023年9〜10月には需要の底打ち感も出てきた。(顧客の)生産面においてはまだまだ強い回復とは言えない状況で、足元は緩やかな需要回復が続いている。
――コアスタッフとしての2023年業績はいかがでしたか。
戸澤氏 ほぼ半導体/電子部品市況と同じで苦しい1年だった。2021〜2022年は半導体不足によって旺盛だったスポットオーダーが、在庫調整局面に入った2023年はほぼなくなった。そこで、当社もスポットオーダー対応から再現性の高いリピートオーダーへの対応に全力でシフトしてきた。そうした事業姿勢の切り替えが年後半から成果に結び付いてきており、手応えを感じているところだ。
――リピートオーダー増に向けた取り組みについて教えてください。
戸澤氏 当社はオンライン販売商社として、多くのメーカーの製品を自社在庫として10万点以上保有している。そのため、多品種少量生産、ないし多品種中量生産を手掛ける顧客のバッファー在庫を安定的に賄える。
オンライン販売事業の一方で、当社は営業担当が直接サポートするアナログ販売も実施する「ハイブリッド営業」も行っており、中小規模の量産までサポートできる。またオンライン販売で抱えている在庫を安定的に納品することもできる。
これまでオンラインで不定期、スポットで購入していただいてきた顧客に、安定供給サポートの提案を積極的に実施した。中小規模の顧客はこれまでそうした安定供給サポートを受けることができず、スポット購入を繰り返してきたというケースも多い。過去2年、サプライチェーンが混乱して調達に苦労された経験もあって、当社の提案が受け入れられている。
――量産サポートの比率が高まれば、在庫保有数をさらに引き上げる必要があります。
戸澤氏 スポット対応から量産対応へとかじを切り、量産対応を前提にした在庫保有を進めてきた。ただ、現倉庫が手狭になっているのは事実なので、自動倉庫を有する新物流センターを長野県佐久市に建設している。2024年秋には稼働する予定で、延床面積1.5万m2以上の規模を誇り、現状の10万点の自社在庫能力は10倍の約100万点に拡張できる見込みだ。さまざまなスポットニーズに対応する取り扱い品種の増加も並行させるが、より多くの量産サポートニーズに応えるために在庫点数をより積極的に増やしていく。
――新倉庫としては2023年10月からタイ現地法人の倉庫が本格稼働しました。タイ倉庫の狙いを教えてください。
戸澤氏 狙いは2つある。一つは、オンライン通販事業としてタイをはじめとした東南アジア地域での注文により素早く対応すること。現地の売れ筋商品を優先的にタイの倉庫に置き、迅速に商品を届けていく。
もう一つの狙いは、タイの余剰在庫を預かって販売する「余剰在庫ビジネス」の強化だ。タイは、日系はもとより多くの多国籍メーカーが生産拠点を構える地域であり、当然、余剰在庫や過剰在庫を抱える。しかし、余剰在庫や過剰在庫を委託して第三者に販売する業者はほぼなく、その処分に困っていた。日本で実績のある当社の余剰在庫ビジネスをタイで本格展開することで、現地顧客の余剰在庫削減に貢献する。既に数社の顧客の余剰在庫を引き受けることが決定し、稼働状況は順調だ。
――2024年の市況見通し、事業方針について教えてください。
戸澤氏 市況については、足元の緩やかな回復傾向が続いていくと想定している。その中で、当社として最大規模の投資である新物流センターを予定通り完成させ、稼働させることが最大の事業テーマだ。
日本国内にも、余剰在庫に悩んでいる顧客はまだまだ多い。余剰在庫を引き受けて販売するという当社の存在を知っている顧客のほとんどには当社のサービスを活用していただいている。だが、現倉庫が手狭なために外部倉庫を借りるなどの手間が発生し、お待たせするケースも出てしまっている。新物流センターが稼働すればそういった課題も解消され、より多くの顧客の余剰在庫削減ニーズに応えられるだろう。
新物流センターは、一次エネルギー消費量収支が実質ゼロの『ZEB』(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を達成する見込みだ。今後、二酸化炭素排出量のコントロールが求められていく中で、当社に委託することで在庫保管に関わる排出量を大きく削減できることは大きなメリットになると考えている。ZEB対応の倉庫という点もアピールし、より多くの余剰在庫を受け入れ、事業規模を拡大させていきたい。
――新物流センターの稼働で、事業規模の拡大が予想されます。人員の確保も必要になるのではないですか?
戸澤氏 約300人という現状の従業員数を大きく増やす予定はない。新物流センターは自動倉庫を入れるなどして効率化を追求している。また、従業員一人一人の能力をアップすることで事業拡大を目指す。
その一環として、管理職を対象にしたミドルマネジメント研修や、主にアウトサイド営業/インサイド営業を対象にした「ICマイスター制度」と呼ぶ学習プログラムを2023年にスタートさせた。ICマイスター制度は、半導体/電子部品を販売する上で必要な基礎知識を体系的に学ぶもので、自社で独自の教材を作成した。半導体商社業界で、体系的な教育教材がないことは長年の課題であった。そのため、思い切って時間をかけて自社で作り上げることで、問題を解決した。インサイド営業の日常業務だけではこうした知識は身に付かない。知識があればより自信を持って顧客対応できるようになるのと同時に、顧客の根本からの問題解決につながるケースが出てきて、感謝されることが増える。そのことは社員のやりがいにもつながると考える。
新物流センターの稼働、そして事業拡大という飛躍に向けて人材教育などの事業基盤をしっかり固めていく。
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提供:コアスタッフ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年2月9日