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売上高1000億円、さらに“その先”に向け挑戦する ―― 3つの「SINKA」を遂げる日清紡マイクロデバイス日清紡マイクロデバイス 代表取締役社長 田路悟氏

日清紡マイクロデバイスは2024年、「融合と挑戦による変革」をスローガンに掲げる。2022年1月の会社発足から「深化」「進化」「新化」という“3つのSINKA”に取り組み、目標である2025年売上高1000億円突破に向け歩みを進めている。「2024年は、売上高1000億円のさらに先を見据えて、挑戦する」という同社代表取締役社長を務める田路悟氏にインタビューした。

» 2024年01月11日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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新日本無線、リコー電子デバイスの統合から丸2年が経過

――新日本無線、リコー電子デバイスが経営統合し日清紡マイクロデバイスが発足し丸2年が経過しました。

田路悟氏 統合作業は大きなトラブルなく、順調に進んできた。旧新日本無線、旧リコー電子デバイスなど統合前を意識する場面は大きく減り、シームレスになってきた。ただ、さまざまなITシステムや製品型番などは、一本化にどうしても時間がかかっている。残りの統合作業も計画通り実施し、完全にシームレスな状況を作っていく。

――業績面では、この2年をどのように評価されますか。

田路氏 発足初年度の2022年は半導体需要が急拡大し、売上高も約850億円と拡大した。ただ、2023年は、2022年の反動が生じ、民生機器向けを中心に在庫調整局面になり厳しい市況環境になった。注力する車載向けは堅調であったものの、2023年は前年並みの数字にとどまると見込んでいる。過去2年は市況の変動が激しかったため、評価しにくいが、順調にきていると考えている。

中長期的な半導体市場の成長を「しっかり捉える」

――発足時から2025年売上高1000億円超の達成を目標に掲げられています。

 民生機器は、在庫調整こそ一段落したが半導体需要を拡大させる新しいアプリケーションが不在で、需要回復は緩やかになるだろう。産業機器に関しても民生機器の回復が鈍いことなどから、急回復は期待しにくい状況で、まだ2024年前半も厳しい市況環境になるだろう。ただ、半導体需要は中長期的に拡大することは間違いない。2025年売上高1000億円の達成、さらにその先の半導体市場の成長をしっかり捉えていけるよう取り組んでいく。

――2025年売上高1000億円と、その先の成長に向けた事業方針を教えてください。

田路氏 車載機器、産業機器、民生機器という3つの用途市場に対し、「3つのSINKA」を遂げてアナログソリューションプロバイダーとして新たな価値を提供し、事業拡大を目指すという発足当初からの事業方針を継続する。

 3つのSINKAとは、技術/製品を深掘りし従来品よりも価値を高める「深化」と、深化させた製品、技術を組み合わせて複合的な価値を提供する「進化」。そして、新ビジネスモデルを創出し付加価値の高いアナログソリューションを提供する「新化」の3つだ。

「3つのSINKA」の概要[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

 既存事業の延長にある深化と進化を遂げることで、2025年売上高1000億円の目標達成はもとより、2030年ごろまでの成長を実現していく。新化については、2030年ごろに事業の柱となるようなビジネスモデルを創出できるよう、さまざまな挑戦を進めて試行錯誤していく。

深化・進化・新化 ―― 3つのSINKA

――3つのSINKAそれぞれの進捗について教えてください。

田路氏 まず深化については、信号処理製品、電源製品のいずれでも進んでいる。信号処理製品では車載向けの超低ノイズRFフロントエンドデバイス(関連記事)などが代表格だろう。電源製品でも、高精度という強みに使い勝手の良さを加えたレギュレータなどを製品化できた(関連記事)。さらに2024年は、2023年から量産を始めた0.18μmプロセスを活用し超低消費電力と大電流対応を両立させたDC-DCコンバータなど一段上のスペックの製品を続々投入する計画だ。さらに、高音質を追求した製品群「MUSES」に電源ICを加える。これまではオペアンプなど信号処理製品をMUSESとして提供してきたが、音質に重きを置いた超低ノイズレギュレータを開発し2024年に投入する。高音質オペアンプと使用することで一層の音質向上を実現できる。こうした製品単体でも新たな価値を提供できる製品を継続して開発できている。

2024年に投入する新製品の概要[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

――単機能の製品を組み合わせて提供する「進化」についてはいかがですか。

田路氏 カメラを含めたセンシングシステム向けに製品を組み合わせたモジュールなどの開発を進めており、車載カメラ向けアナログフロントエンドのカスタム品などで成果が生まれている。マイクロ波事業で手掛けるマイクロ波やミリ波センサーを生かしたモジュールや、筐体/アプリケーションソフトを含めたセンサーユニットの開発も進んでいる。

 当社には回路技術、デバイス技術そして、実装技術というモジュール/ユニット製品開発に必要な3つの技術がある。これら3つの技術を日清紡グループ内外で「三位一体」に融合し、光や音などをセンシングするモジュールとして産業機器やロボットに向けた脱炭素/省人化ソリューションを今後、開発していく予定だ。

――新事業モデル創出を目指す「新化」についてはいかがですか。

田路氏 これまで新ビジネスモデル構築を進めてきたプロジェクトチームを2024年1月1日付で「新規事業開発本部」として組織化し、より活動を本格化させる。深化や進化で生み出すデバイスやモジュールユニットをベースに、クラウドサービスやAIを組み合わせ、新たなビジネスモデル構築を目指す。既に超音波センサーを応用した予兆保全ソリューション(関連記事)や、においセンサーを応用した工場異常臭検知ソリューションを開発し、新規事業の模索にも着手している。

新規事業開発の位置付けと主な取り組み[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

 新しいビジネスモデルを生み出すことは難しいが、挑戦を数多く繰り返しノウハウをためていきたい。日清紡グループ内でもさまざまな新事業開発プロジェクトが立ち上がっているので、そうしたプロジェクトにも積極的に参加していく。

融合と“挑戦”による変革

――2024年の抱負をお聞かせください。

田路氏 2025年売上高1000億円、そしてその先に2000億円と目指していくためには、新たな事業の柱の構築や、海外での売り上げ拡大など、成し遂げなければならないことは多い。

 2023年までは統合作業を意識して「融合による変革」をスローガンにしてきたが、2024年からは、そこに“挑戦”を付け加え、「融合と挑戦による変革」を掲げる。新規事業開発など将来の成長に向けてさまざまなことにチャレンジする1年にしたい。


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提供:日清紡マイクロデバイス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年2月9日

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