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UVテープを開発、2次元材料を効率よく転写:半導体や絶縁体などへの適用も(2/2 ページ)
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と九州大学および日東電工は、グラフェンなどの2次元材料を効率よく簡単に転写できる機能性テープ「UVテープ」を共同で開発した。開発した技術は半導体や絶縁体などの2次元材料にも適用できるという。
2次元半導体のTMDなどにも適用可能
開発したUVテープは、粘着剤などを最適化することにより、2次元半導体の遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)や、絶縁体の六方晶窒化ホウ素(hBN)にも適用できる。代表的なTMDである二硫化モリブデン(MoS2)を転写したところ、三角形のグレインと全面膜がきれいに転写されていることや、このMoS2を用いたトランジスタが良好に動作することを確認した。開発したUVテープを用いて、複数の2次元材料を重ねた積層構造を作製することもできるという。
開発したUVテープを用いると、さまざまな材料や形状への転写が可能となる。MoS2をキャッチしたテープを小さく切り離し、貼り付けたい位置に転写して電極を取り付ければ、多数のMoS2デバイスを作製できる。しかも、必要なところにだけ貼り付ければ済むので、2次元材料自体の削減にもつながるという。柔軟性があるため、プラスチック製の眼鏡やフレキシブルなポリマー基板にも転写できる。MoS2をグラフェン電極ではさんだ構造にすることも可能だ。
プラスチック基板上に転写したグラフェンの応用例として、テラヘルツ波を用いたセンサーを作製した。空港などでのセキュリティなどに利用できるという。グラフェンデバイスは熱センサーとして応用できることも確認した。
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