PWM型スイッチング電源用のパワーICを開発:白物家電向けに全負荷領域で高効率
サンケン電気は、スーパージャンクションMOSFET(SJ-MOSFET)と電流モード型PWM制御ICを1パッケージに集積したPWM型スイッチング電源用パワーIC「STR3W400MXDシリーズ」を開発、その第1弾として「STR3W424MXD」の量産を始めた。
SJ-MOSFETと制御ICを1パッケージに集積
サンケン電気は2024年2月、スーパージャンクションMOSFET(SJ-MOSFET)と電流モード型PWM制御ICを1パッケージに集積したPWM型スイッチング電源用パワーIC「STR3W400MXDシリーズ」を開発、その第1弾として「STR3W424MXD」の量産を始めた。
STR3W424MXDは、耐圧700Vで出力電力は最大70Wである。オン抵抗は最大1.4Ωで、従来同等品に比べると25%も小さくなった。パッケージは外形寸法が10.0×16.9×4.20mmのTO220F-6Lで供給する。また、シリーズ品として、最大出力が80Wでオン抵抗は最大1.0Ωという製品なども開発中である。
STR3W424MXDに搭載した制御ICは、「ステップドライブ制御」と「グリーンモード制御」の機能を備えている。ステップドライブ制御機能によって、電源起動時のサージを抑える。これにより、2次側整流ダイオードの耐圧ランクを下げることができ、定常時のVF損失を小さくできる。
一方、グリーンモード制御機能は、負荷に応じて発振周波数を適切に制御する。これによって、パワーMOSFETのスイッチング損失を削減することができる。これらの機能により、軽負荷から重負荷まで全領域で効率の良い電源を実現できる。
保護機能としては、AC過電圧入力時に発振動作を停止する「AC入力過電圧保護機能」や、入力電圧が低い時に発振動作を停止する「ブラウンイン・ブラウンアウト機能」を搭載した。これにより、パワーMOSFETの過電圧破壊を防ぎ、過入力電流や過熱を防止することができるという。
新製品は、白物家電やOA機器、産業機器、その他SMPSなどの用途に向ける。
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