サンケン電気、スイッチング電源用パワーICを量産:グリーンモード機能を搭載
サンケン電気は、PWM型スイッチング電源用パワーIC「STR6S161HXD」の量産を始めた。グリーンモード機能を搭載し、全負荷領域で効率の良い電源の設計を可能にした。
全負荷領域で高効率の電源設計を可能に
サンケン電気は2022年7月、PWM型スイッチング電源用パワーIC「STR6S161HXD」の量産を始めた。グリーンモード機能を搭載し、全負荷領域で効率の良い電源の設計を可能にした。白物家電や調理用家電、小型アダプター、充電器などの用途に向ける。
STR6S161HXDは、電流モード型PWM制御ICと、耐圧700VのパワーMOSFETを独自の面実装パッケージ(SOIC16)に集積した。消費電力を抑えるために、負荷に応じて動作モードを自動で切り替える機能を搭載している。
例えば、定常時はスイッチング周波数を100kHzに固定。中〜軽負荷時には負荷に応じ25〜100kHzの範囲内で適切に切り替えるグリーンモード機能を用意。さらに、スタンバイの軽負荷時には、バースト発振動作とする。このように動作モードを負荷に応じて切り替えることにより、全負荷の領域において効率を高めることができるという。
また、ステップドライブ制御の機能を搭載した。これはIC内部で、動作状況に応じパワーMOSFETのゲートドライブを適切に制御する機能である。この結果、パワーMOSFETターンオン時に、2次側整流ダイオードのサージ電圧を低減できるため、2次側整流ダイオードの耐圧をこれまでより低く設定できる。耐圧が下がればVF(順方向電圧)も小さくなるため、消費電力を低減できるという。
STR6S161HXDは、SOIC16という面実装の新たなパッケージを採用した。外形寸法は9.9×3.9×1.45mmで、従来品に比べ放熱性を7%も向上させている。この他、「過電圧保護(HVP)」と「ブラウンイン・ブラウンアウト」という、2種類のAC入力電圧保護機能を搭載した。これによって、電源供給が不安定な地域でも安全に使用することが可能になる。
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