TSMC熊本工場で開所式 Morris Chang氏が「日本の半導体再興の始まり」と強調:投資総額は86億米ドル(2/2 ページ)
TSMCの製造子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)は、熊本県菊陽町で建設を進めてきた熊本第一工場の開所式を開催した。開所式にはTSMCの創業者であるMorris Chang氏らが出席し、熊本第一工場に寄せる期待を語った。
熊本工場は「日本の半導体産業に欠けていたピース」
Chang氏はさらに、今後の需要増についても「最近、TSMC社内のAI担当者から、AIの登場で必要になった(半導体チップの)生産能力を聞いて驚いた。ウエハーを何千枚、何万枚というレベルではなく、ファブがいくつ必要かというレベルで話していた」と明かした。
岸田首相はビデオメッセージで、「日本政府は先端半導体の国内製造基盤の整備に向け、前例のない大胆な支援を講じてきた。JASMで先端ロジック半導体が生産されることが、日本の半導体産業とユーザー産業の双方にとって大きな一歩だ」と語り、「TSMCの熊本進出発表後、約50社が熊本への設備投資を発表している。今後もJASM、熊本、九州から投資と賃上げの好循環が生み出されることを歓迎する」と、経済効果の大きさに言及した。
斎藤氏は、「1980年代、日本の半導体産業は世界一のシェアを誇っていたが、官民双方の取り組みが時代の流れに取り残され、競争力を落としてきた」と振り返った。「現在、日本では40nm未満のロジック半導体は量産されていない」と指摘し、熊本第一工場では22/28nm品、12/16nm品を生産することから、「日本の半導体産業に欠けていたピースが埋まる、極めて深い意義を持つものだ」と期待を寄せた。
なお、TSMCは2024年2月6日、ソニーセミコンダクタソリューションズやデンソー、トヨタ自動車とともに、熊本第二工場の建設計画を発表した。第二工場についても日本政府が助成を行うと明らかにしている。第二工場は、2024年末までの建設開始と、2027年末までの稼働開始を目指す。第一工場と第二工場の合計月間生産能力は、300mmウエハー換算で10万枚以上となる見込みで、自動車や産業機器、民生機器、HPC(高性能コンピューティング)向けに40nm、22/28nm、12/16nm、6/7nmプロセスでの製造を行う予定だ。
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