AKM、低消費電力のA-DコンバーターICを開発:音響解析機能、わずか34μAで動作
旭化成エレクトロニクス(AKM) は、極めて小さい消費電流でガラス破壊音などを検知できる機能を搭載した、モノラル16ビットA-DコンバーターIC「AK5707ECB」を開発した。防犯用スマートセンサーやセキュリティカメラ、スマートウォッチなどの用途に向ける。
アルゴリズムを入れ替えて、ガラス破壊音や警報、音声などを検知
旭化成エレクトロニクス(AKM) は2024年2月、極めて小さい消費電流でガラス破壊音などを検知できる機能を搭載した、モノラル16ビットA-DコンバーターIC「AK5707ECB」を開発した。防犯用スマートセンサーやセキュリティカメラ、スマートウォッチなどの用途に向ける。
AK5707ECBに搭載した、特定音を検知できる「アコースティック・アクティビティ・アナライザー(AAA)」機能は、34μAという消費電流で動作する。このため、想定した音をAAAで検知してから、AK5707ECBや外部のSoC(System on Chip)を起動させるための信号を出力すれば、システムの待機電力を大幅に削減することができるという。
しかも、音響解析機能は音量レベルの検出ではなく、複数の音響パラメーターにより、高度で柔軟な設定が可能である。例えば、ガラス破壊音や警報、音声といったパターン音の検知や、入力された信号周波数の高低や長短から4象限に分類するなど、アルゴリズムを変更すれば、さまざまな音響解析が可能となる。
AK5707ECBは、16ビット分解能で最大48kHzサンプリングに対応し、96dBというダイナミックレンジを確保している。しかも、16kHzサンプリング動作時の消費電流は200μAと極めて小さい。AK5707ECBは既に、サンプル品の供給を始めており、2024年9月より量産出荷を始める計画。
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