低電圧/過電圧に対応、車載用ウィンドウボルテージディテクター:電圧検出応答時間は10マイクロ秒
エイブリックは2023年10月24日、車載用ウィンドウボルテージディテクター(リセットIC)「S-191Aシリーズ」を発表した。低電圧と過電圧の双方に対応していて、異常を検出してから出力するまでの応答時間は10マイクロ秒(typ.)だ。
エイブリックは2023年10月24日、車載用ウィンドウボルテージディテクター(リセットIC)「S-191Aシリーズ」を販売開始したと発表した。車載分野の安全性向上のため、EPS(Electric Power Steering)の電圧監視に用いられる。
マニュアルリセット機能で「非安全側フォールト」の診断が可能
S-191Aは、低電圧と過電圧の両方を監視できることが特長だ。検出電圧は、低電圧は0.6〜4.9V、過電圧は0.7〜5.5Vの範囲でそれぞれ個別に設定できる。電圧の異常を検出してから出力するまでの応答時間は10マイクロ秒(typ.)で、同社従来品「S19100シリーズ」と比較して7分の1に短縮した。サイズは、車載用超小型パッケージ「HSNT-8(1616)B」(1.6×1.6×0.41mm)に搭載することで、S19100シリーズと比較して70%の小型化に成功した。
ボルテージディテクターを使った従来の電圧監視は、低電圧のみに対応し、発生頻度が少ない過電圧については保護素子を接続して対応することが一般的だった。しかし、昨今は機能安全への対応の観点から、過電圧が起きた際、単に過電圧から保護するだけでなく、異常を検出して故障か否かを判別した上で必要な制御を行うといったより繊細な異常検知および対応が求められている。S-191Aは、こうした課題に応える製品だ。
S-191Aは、強制的にリセット信号を出力できるマニュアルリセット(MR)機能を搭載していることも特長だ。これにより、電圧が異常であるにもかかわらず「正常」と通知してしまう誤解除、つまり「非安全側フォールト」の診断が可能になる。MR機能を有効にした場合、IC内部で強制的に検出状態に移行させる。仮に、MR機能を有効にしても出力が「検出」にならずに「解除」し続けている場合は、故障が生じていると判断できる。これにより、自動車のADAS(先進運転支援システム)やAD(自動運転)における機能安全の向上に貢献するという。
エイブリックはS-191Aシリーズと併せて、「S-191Bシリーズ」と「S-19122シリーズ」も発表した。S-191Bは、車載全般向けの製品で、低電圧/過電圧の双方に対応しているが、MR機能は搭載していない。S-19122は、民生機器向けを想定していて、低電圧のみに対応し、MR機能も搭載している。
S-191A/S-191B/S-19122の各シリーズは、PPAP(生産部品承認プロセス)に対応している。車載ICの品質規格「AEC-Q100 Grade1」については、「SOT-23-6」パッケージ搭載品が2024年2月、「HSNT-8(1616)B」パッケージ搭載品が2024年8月に対応する予定だ。S-191Aシリーズのサンプル価格は240円(税抜き)。販売目標は2028年度(単年)で500万個としている。
担当者は「S-191Aシリーズは、低電圧/過電圧への対応、10マイクロ秒の検出応答時間、MR機能を搭載した製品だ。サンプルを提供した顧客からは前向きな声が多く、リリース前から採用が内定している顧客もいる。車載を中心に、小型のウィンドウボルテージディテクターを求めている人には、一度試してもらいたい」と語った。
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