実装面積が「業界最小クラス」の車載用降圧スイッチングレギュレーター:他社従来製品比で45%削減
エイブリックは2024年1月16日、5.5V動作、1A出力の車載用降圧型スイッチングレギュレーター「S-19954/5 シリーズ」を発売した。「業界最小クラス」(同社)の実装面積 で、降圧電源回路を構成できるという。
エイブリックは2024年1月16日、5.5V動作、1A出力の車載用降圧型スイッチングレギュレーター「S-19954/5シリーズ」を発売した。主な用途は、ADAS(先進運転支援システム)やAD(自動運転システム)で使われる車載カメラを想定している。
S-19954/5シリーズは、パッケージに「HSNT-8(1616)B」(サイズ:1.6×1.6×0.41mm)を採用。コイル1個とコンデンサー2個を追加するだけで降圧回路を構成でき、「回路の実装面積は、他社従来製品比で45%減となる5.5×3.1mmを実現できる。パッケージ、実装面積ともに業界最小クラスだ」(同社)という。
ガルウイングタイプのパッケージ「HTMSOP-8」(サイズ:2.9×4.0×0.8mm)を用いた製品も開発中で、2024年3〜4月ごろの提供開始を目指す。
車載用カメラは、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)などを軸とした車の技術革新に伴い、搭載数の増加や高画素化が進んでいる。カメラは、画素数が多くなるほど大きな出力電流が必要になる。「従来のLDOレギュレーターは出力電流が増えると発熱量も増加してしまうため、電力効率の高いスイッチングレギュレーターを使用する場合が多い。しかし、スイッチングレギュレーターは、LDOレギュレーターと比べて必要な周辺部品数が多く、実装面積が大きくなるという課題がある」とエイブリックは説明する。
S-19954/5シリーズは、出力電圧を設定する帰還抵抗回路と、発振を抑制し出力電圧を安定させる位相補償回路を内蔵しているため、最小でコイル1個、コンデンサー2個でアプリケーション回路を構成可能だ。これにより、搭載部品の増加するECUの省スペース化に貢献する。担当者は、「回路設計とレイアウトを工夫することで、実装面積の小型化を実現した」と語った。
S-19954シリーズはPWM(パルス幅変調)制御方式、S-19955シリーズはPWM/PFM(パルス周波数変調)切り替え制御になっている。
S-19954/5シリーズの入力電圧範囲は2.7〜5.5V。出力電圧範囲は0.8〜3.3Vで、出力電流は1A。動作温度範囲は−40〜125℃だ。電力交換効率は入力電圧4V、出力電圧3.3V時で最大95%を達成している。パワーグッド機能を搭載し、ICの出力電圧が規定の値(下は86%、上は114%)を外れた場合にエラーフラグをマイコンに通知することができる。これにより、システムの安全性向上に貢献する。サンプル価格は158円(税別)で、販売目標を2028年(単年)で1000万個とする。
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