半導体材料ガスの輸送、一部をトラックから鉄道に ジャパンマテリアルらが本格採用:2024年問題やカーボンニュートラル化に対応
ジャパンマテリアル、日本トランスシティ、日本貨物鉄道は、半導体の製造過程で使用される半導体材料ガスの輸送について、貨物鉄道を用いた輸送の本格運行を開始したと発表した。
半導体材料ガスの管理/販売を手掛けるジャパンマテリアル(以下、JM)、総合物流企業の日本トランスシティ(以下、TRANCY)、貨物輸送を行う日本貨物鉄道(以下、JR貨物)は、2024年3月19日、半導体の製造過程で使用される半導体材料ガスの輸送について、貨物鉄道を用いた輸送の本格運行を開始したと発表した。
三重県から岩手県まで輸送
ジャパンマテリアルではこれまで、三重県から岩手県までの半導体材料ガスの輸送を、トラックのみで行っていた。しかし、ドライバー人材が不足する「物流の2024年問題」やカーボンニュートラル化への要請から、持続可能な物流体制の構築が必要となっていた。
これを背景にJM、TRANCY、JR貨物の3社は2023年6月から、四日市駅(三重県四日市市)から水沢駅(岩手県奥州市)まで、鉄道コンテナを用いたトライアル輸送を開始。今回、貨物に対する振動や温度保持などの輸送品質について、従来のトラック輸送と比較して遜色ないことが確認できたとして、トラック輸送と鉄道輸送を組み合わせる「モーダルコンビネーション」の形で本格運行を開始した。
JR貨物は今回の本格運行開始について、「貨物鉄道は1人の運転士で一度に大量の荷物を運べるなど労働生産性が高く、優れた環境特性のある輸送方法だ。特に中長距離輸送でその特性を発揮し、近年深刻化している労働力不足問題などの社会課題の解決に貢献する。また従来に代わる輸送手段の1つとして、重要な戦略物資である半導体輸送の『複線化』にも貢献する」とコメントしている。
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