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化石燃料を最大53.0%削減する排ガス処理用耐熱セラミック触媒材料:村田製作所が開発
村田製作所は、排ガス処理用耐熱セラミック触媒材料を開発した。この材料を用いた触媒を利用すれば、排ガス処理時の化石燃料消費量を最大53.0%削減できることを確認している。
スコープ1の温室効果ガスについても排出量を削減
村田製作所は2024年3月、排ガス処理用耐熱セラミック触媒材料を開発したと発表した。この材料を用いた触媒を利用すれば、排ガス処理時の化石燃料消費量を最大53.0%削減できることを確認している。
新たに開発した材料は、ラミックコンデンサーの材料設計技術を応用した。同材料には活性元素が埋め込まれており、燃焼室の温度が850℃を超えても熱劣化しないという。コスト高につながる貴金属も一切使っていない。
同材料をコーティングした排ガス処理用ハニカム触媒を用いれば、排ガス処理装置の設定温度を下げ、熱回収率や自燃率を向上できる。これまで削減が難しかったスコープ1の温室効果ガス(GHG)についても、排出量を削減できるという。
既に、中国の触媒メーカーであるF-Techが、開発した材料を用いて排ガス処理装置用ハニカム触媒を製造、販売している。
村田製作所は、中国無錫や野洲、出雲にある同社工場および協力工場に、F-Tech製ハニカム触媒を導入。天然ガスの消費量を半減できることを確認している。この結果を踏まえて、国内外にあるグループ企業の拠点にも全面展開していく計画である。
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