Infineon、Wolfspeedとの150mm SiCウエハー供給契約を拡大/延長:SiCパワー半導体生産の基盤を強化
Infineon Technologiesは、Wolfspeedとの150mm SiCウエハーに関する長期供給契約を拡大/延長した。Infineonは「サプライヤー基盤を継続的に多様化し、高品質のSiCウエハーへのアクセスを確保していく」と述べている。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2024年1月23日(ドイツ時間)、Wolfspeedとの150mm SiC(炭化ケイ素)ウエハーに関する長期供給契約を拡大/延長すると発表した。Infineonは、「SiCベースのパワーソリューションの採用は、さまざまな市場で急速に拡大している。Infineonは成長市場へのサポートを強化すべく、サプライヤー基盤を継続的に多様化し、高品質のSiCウエハーへのアクセスを確保していく」と述べている。
サプライヤーの多角化を進めるInfineon
2017年にCree(現Wolfspeed)のSiC事業の買収を断念したInfineonは、翌年の2018年2月、Creeと150mm SiCウエハーの長期供給契約を締結していた。今回、この契約を拡大/延長する。これには、複数年にわたる生産能力確保に関する合意が含まれている。
Infineonは、自動車分野やソーラー、電力貯蔵システム向けなど、今後大きく需要が拡大することが見込まれるSiCデバイスについて安定した供給体制を確立すべく、近年、SiCウエハーサプライヤーの多角化を進めている。
Infineonは2018年のCreeの他、2020年にはSiC結晶を手掛けるGT Advanced Technologies(onsemiが買収)との供給契約を締結。さらに、2022年8月には米国II-VI Incorporated(現Coherent)、2023年1月(2021年5月の契約を補完/拡大)にレゾナック(旧:昭和電工)、2023年5月には中国のSiCサプライヤーSICCおよびTanKeBlueと、それぞれSiCウエハーなどの供給契約を締結してきた。直近でも2024年1月10日、韓国SK Siltronの子会社でSiCウエハー製造を手掛けるSK Siltron CSSとの長期供給契約締結を発表している。
InfineonのCEO(最高経営責任者)である、Jochen Hanebeck氏は今回の発表について、「SiCデバイスの需要が増加し続ける中、当社は150mmおよび200mm SiCウエハーについて高品質でグローバルかつ、長期的な供給基盤を確保するためマルチソース戦略をとっている。Wolfspeedとの長期にわたる提携は、今後複数年、Infineonのサプライチェーンの強靭性をさらに強化する。当社は20年以上にわたってWolfspeedと協力し、自動車、産業、エネルギー市場にSiCの有望性を広め、顧客がこのエネルギー効率の高い技術を活用して脱炭素を促進できるよう支援してきた」とコメントしている。
SiCウエハー市場シェアトップのWolfspeed
WolfspeedはSiCデバイス市場でInfineonに次ぐ3位の位置にある主要プレイヤーであると同時に、SiCウエハー市場においては50%以上のシェアを有する最大手メーカーだ(Yole Intelligenceによる2022年の市場データ)
同社は2022年4月に米国ニューヨーク州モホークバレーに200mm SiCウエハー対応工場を開設した他、同年9月にはノースカロライナ州に主に200mmのSiCウエハーを生産する材料工場の建設を発表、さらに2023年2月にはドイツ・ザールラント州エンドルフに200mm SiCウエハー対応工場建設する計画を発表するなど近年、デバイスおよびウエハー製造拠点への投資を拡大。2027年までに総額65億米ドル規模を投じる能力拡大計画を進めている。
WolfspeedのCEO、Gregg Lowe氏は、発表文の中で、「業界の予測ではSiCデバイスとそれを支える材料の需要は2030年までに大幅に伸び、年間200億米ドルの規模に成長することが見込まれている」と言及。「当社は、産業界でのSiCへの移行における橋渡し役であり、自動車/産業市場における主要サプライヤーのInfineonのような主要顧客に高品質の材料を提供すると同時に、生産能力を拡大している」と述べている。
Wolfspeedは2023年7月、ルネサス エレクトロニクスとも10年間にわたるSiCウエハーの供給契約締結も発表している。
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