次世代電池市場、2035年は7兆2763億円規模へ:2023年見込みに比べ約6倍に拡大
矢野経済研究所は、主要9種類の次世代電池世界市場(メーカー出荷額ベース)を調査し、2035年までの市場規模予測を発表した。これによると、2023年見込みの1兆2333億円に対し、2035年は約6倍の7兆2763億円規模に達する見通しである。
大半の製品は2025年または2030年以降に本格実用化へ
矢野経済研究所は2024年5月、次世代電池の世界市場(メーカー出荷額ベース)を調査し、2035年までの市場規模予測を発表した。これによると、主要9種類の次世代電池市場は、2023年見込みの1兆2333億円に対し、2035年は約6倍の7兆2763億円規模に達する見通しである。
今回の調査は、「酸化物系全固体リチウムイオン電池(LiB)」「硫化物系/高分子系全固体LiB」「ナトリウム二次電池」「レドックスフロー(RF)電池」「金属空気電池」「有機二次電池」「多価イオン電池」「Li-S電池」および、「新原理・新型電池」の9種類を対象とした。調査期間は2023年6月〜2024年3月。為替レートは1米ドル=145円で算出した。
調査対象とした9種類の次世代電池の中には、RF電池のように市場導入が進んでいる製品もあるが、多くの製品において本格的な実用化の時期は2025年以降または、2030年以降になるとみている。
2023年市場見込みの中で大きな割合を占めるのが、大型のRF電池である。太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの普及に伴う電力系統用定置用蓄電池として需要が拡大した。酸化物系全固体LiBは、固体電解質に電解液やゲルポリマーを添加した半固体電池の生産が中国の一部で始まった。ナトリウム二次電池や金属空気電池についても市場形成が始まっているという。
同レポートでは、今後の注目製品として全固体LiBを挙げた。全固体LiBは小型/小容量セルの領域から実用化が始まった。現在は電池メーカーや電池材料メーカーが、車載用途に向けた大型セルの開発に取り組んでいる。
種類別にみると、硫化物系全固体LiBは、小型/小容量セルが実用の段階を迎えている。自動車メーカー各社は2020年代後半にも、EVへの搭載を目指しているという。韓国のLiBメーカー3社は、2020年代後半にも生産を始める計画である。
酸化物系全固体LiBでは中国LiBメーカーを中心に、電解液やゲルポリマーを混合した半固体電池で製品化を目指している。高分子系の固体電解質(ドライポリマー)を用いた全固体LiBは、発火事故が発生するなど課題もあり、安全性や信頼性を高める対策が不可欠となっている。
2035年の次世代電池世界市場規模を種類別に予測した。レドックスフロー電池が4兆4755億円、酸化物系全固体LiB(半固体電池含む)が1兆3034億円、硫化物系/高分子系全固体LiBは1兆2457億円、ナトリウム二次電池は1396億円となる見込み。また、Li-S電池は418億円、金属空気電池は280億円、新原理・新型電池は116億円、有機二次電池は207億円、多価イオン電池は100億円と、それぞれ予測した。
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