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タイミングデバイスの「限界突破」、MEMS振動子内蔵のクロックジェネレーター:実装面積や設計期間を大幅削減(2/2 ページ)
SiTimeは2024年5月、シリコンMEMS振動子を内蔵したクロックジェネレーターIC「Chorus(コーラス)」を発表した。発振回路やクロックを統合したことで、タイミングソリューションの実装面積を削減できる他、設計期間も短縮できる。AI(人工知能)データセンターを主要ターゲットとし、産業機器や自動車での活用も見込む。
クロック事業の拡大を狙うSiTime
2003年に設立されたSiTimeは、振動子、クロックIC、MEMS発振器を扱うファブレス半導体企業だ。同社は過去20年間で5億米ドルを研究開発に投資。タイミングソリューションに必要となる振動子、発振器、PLL、I/O、アナログ回路といった各要素を柔軟に統合する「クロック・システム・オンチップ(Clock system on Chip:ClkSoC)」を開発してきた。
SiTimeが設計を手掛けるシリコンMEMS、プログラマブルアナログおよびシステム。シリコンMEMSはBosch、プログラマブルアナログはTSMC、システムはASEあるいはCarsemが製造を担当している[クリックで拡大] 出所:SiTime
売上高の大半を占めるのは発振器だが、データセンターなどにおける高精度タイミングデバイスへの需要増を見据え、「今後はクロックIC事業も拡大していく」とSevalia氏は述べる。
「SiTimeはタイミング製品のシリコン化に貢献したと自負している。エレクトロニクス業界においてインテリジェント化とコネクテッド化が進む中、どのような環境においても、正確かつ信頼性の高いクロック信号を提供することが重要になる」(Sevalia氏)
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