アオイ電子、シャープ三重工場で先端パネルパッケージ生産へ 26年稼働:「FOLP」月産2万枚目指す
アオイ電子とシャープは2024年7月9日、シャープ三重事業所に半導体先端パネルパッケージの生産ラインを構築すると発表した。アオイ電子の「FOLP(Fan-out Laminate Package)」を生産する予定で、2026年中の本格稼働を目指す。本格稼働時の生産能力は月産2万枚を予定している。
アオイ電子とシャープは2024年7月9日、シャープ三重事業所(三重県多気町)の第1工場内に半導体先端パネルパッケージの生産ラインを構築すると発表した。2024年中に着工し、2026年中の本格稼働を目指す。本格稼働時の生産能力は月産2万枚を予定している。
同日、両社およびシャープディスプレイテクノロジーが、シャープの液晶パネル工場の建物や施設を活用したアオイ電子による半導体後工程の生産ライン構築を推進していくことに合意し、基本合意書を締結した。
生産ライン構築を予定しているのは、シャープ三重事業所の第1工場(延床面積約6万m2)だ。アオイ電子は、既存工場を活用することで生産ラインの早期構築/稼働を図り、「今後拡大が見込まれるチップレット集積パッケージ、チップ埋め込み型パワーパッケージ、5G(第5世代移動通信)および6G(第6世代移動通信)、ADAS(先進運転支援システム)用の高周波パッケージをタイムリーに提供していく」と説明。同ラインでは、近年高まる先端パッケージニーズに対応した同社の「FOLP(Fan-out Laminate Package)」※1)を生産する予定だ。
※1)アオイ電子独自のFan-out panel level package技術
シャープは中小型液晶パネル工場の生産能力の最適化に加え、未利用/低利用となっている工場の活用および、他社協業による事業展開を進めていて、今回の合意もその一環だ。
両社は「合意書の内容をもとに、生産ラインの早期構築と本格量産に向け、3社間で半導体後工程における連携を検討していく」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- シャープがディスプレイ事業を「縮小」、黒字化最優先で再起を図る
シャープの2023年度決算は、売上高が前年比8.9%減の2兆3219億円、営業損益が203億円、最終損益が1499億円と大幅赤字だった。ディスプレイデバイスの不振が影響したもので、同社は「今後は黒字化に向けて、デバイス事業を縮小する」と発表した。 - 「チップレット構想」は破綻してないか? 利点はどこに
昨今、盛り上がっている「チップレット」だが、最近の発表を聞いているとどうにも違和感を覚えてならない。IntelやAMDの製品を取り上げながら、当初提唱されていたチップレットの利点について、もう一度考えてみたい。 - PSB技術を用いたチップレット集積技術を開発
東京工業大学とアオイ電子らによる共同研究チームは、広帯域のチップ間接続性能と集積規模の拡大を可能にするチップレット集積技術「Pillar-Suspended Bridge(PSB)」を開発したと発表した。 - チップレット戦略 Armはどう攻めるのか
注目が高まるチップレットにおいて、Armはどのような戦略を持っているのか。Armのパートナーシップを振り返りながら検証してみたい。 - Rapidusへの政府支援は累計9200億円に、後工程プロジェクトも発進
Rapidusは2024年4月2日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に提案し、採択された先端半導体前工程のプロジェクトの2024年計画/予算が承認され、また、新たに提案していた先端半導体後工程のプロジェクトが採択されたと発表した。追加の支援額は、前工程プロジェクトが最大5365億円、後工程プロジェクトが最大535億円だ。 - 注目が集まるチップレット技術で2023年に見られた重要なブレークスルー
半導体の微細化による「ムーアの法則」が頭打ちになりつつあるなかで注目が集まるチップレット技術。本稿では今後の発展の展望や2023年にあった重要なブレイクスルーなどを紹介する。