再エネ制御ソリューション、村田製作所が外販:再生可能エネルギー自給率を最大化
村田製作所は、独自に開発した統合型再エネ制御ソリューション「efinnos(エフィノス)」の外販を始める。AI(人工知能)技術を活用し太陽光発電と蓄電池のシステムを適切に制御する。これにより、製造拠点などにおける再生可能エネルギー自給率の最大化が可能となる。
自社3工場では使用電力の再生可能エネルギー化100%を達成
村田製作所は2024年7月、独自に開発した統合型再エネ制御ソリューション「efinnos(エフィノス)」の外販を始めると発表した。AI(人工知能)技術を活用して太陽光発電と蓄電池のシステムを適切に制御する。これにより、製造拠点などにおける再生可能エネルギー自給率の最大化が可能となる。
温室効果ガスの排出削減に向け、製造業などでは再生可能エネルギーの活用や省エネ対策への取り組みが本格化している。特に、多くの電力を消費する施設などでは、再生可能エネルギーの導入なども進んでいる。ただ、太陽光など自然エネルギーから得られる電力量は、天候などの影響によって発電量が安定しないなど、課題もあった。
こうした課題に対し村田製作所は、AI技術を用い太陽光発電や蓄電池で構成されるシステムを、最適に制御するためのソリューションを開発した。具体的には、電力の需給状況や発電状態に関するデータを収集。その上で過去の実績や天候などの予報情報も考慮しながら、AIを活用して蓄電池の充放電を細かく自動制御する。これによって、安全かつ安定したシステム運用を可能とした。
例えば、太陽光発電で得られた電力を使いきれない場合は蓄電池に蓄え、電力使用量が発電量を上回る時にはそれを放電する。こうした制御を適切に行うことで、再生可能エネルギー自給率の最大化を可能にした。これによってピークカットも可能となり、コスト削減につながるという。村田製作所では、efinnosの導入・運用に対する支援サービスも提供していく。
なお村田製作所は、2021年9月に金津村田製作所へefinnosを導入。現在は国内5カ所の自社工場で運用している。このうち金津、仙台、伊勢の3工場では使用電力の再生可能エネルギー化100%を達成しているという。
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