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独自モールドタイプモジュールで車載SiCの主戦場へ挑むローム:PCIM Europe 2024(3/3 ページ)
ロームはドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」の初日に記者会見を行い、同社取締役常務執行役員パワーデバイス事業担当の伊野和英氏がSiCパワーデバイス新製品の概要や、事業の展望などを語った。
ディスクリート品のように量産可能、生産能力を約30倍向上
750V耐圧および1200V耐圧品でそれぞれパッケージサイズ(41.6mm×52.5mmまたは58.6mm×52.5mm)や実装パターン(TIM: heat dissipation sheetおよび銀焼結)に対応する12製品をラインアップする。また、今後第5世代SiC MOSFET採用やボンディング素材の改善によって、出力電流を最大900Armsまで達成する予定だとしている。
また、TRCDRIVE packはモジュールでありながらディスクリート製品のような大量生産体制を確立しているといい、一般的なケースタイプモジュールの従来品と比べ、生産能力を約30倍向上しているという。
ロームは今回、GaN(窒化ガリウム)についても、台湾のデルタ電子のブランド「Innergie」が手掛ける45W出力ACアダプター「C4 Duo」に、ロームの650V耐圧GaN HEMT「GNP1150TCA-Z」が採用されたとして実物を展示してアピールしていた。ロームは、同社の今回、採用に至った理由として、GNP1150TCA-Zに内蔵されたESD保護素子によって、静電破壊耐量を一般的なGaN HEMTと比べて約75%向上した点が、アプリケーションの高信頼化につながるとして評価されたと説明している。
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