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「容量5倍」EV向け最新型電池を量産へ、パナソニックエナジー:和歌山工場がマザー工場に
パナソニックエナジーは2024年9月9日、EV(電気自動車)向け円筒形リチウムイオン電池の最新型である「4680セル」の量産準備が完了したと発表した。最終評価の後、和歌山工場(和歌山県紀の川市)をマザー工場として生産を開始する。
パナソニックエナジーは2024年9月9日、EV(電気自動車)向け円筒形リチウムイオン電池の最新型である「4680セル」の量産準備が完了したと発表した。最終評価を行った後、量産を開始する。
4680セルは、従来品である「2170セル」と比較して約5倍の容量を持つことから、EVの航続距離延長に貢献する。また、同じ電池容量を得るために必要な搭載セル数が減るため、バッテリーパックの組み立て工程の効率化やEVコストの低減につながると期待されている。同社は、「4680セルでは、1セルあたりの容量が大きくなるため、製造工程においてより高度な技術や工法が求められる。当社は、長年にわたる円筒形リチウム電池製造の技術と経験の蓄積によってこれを実現した」と説明した。
同日には、4680セルのマザー工場となる和歌山工場(和歌山県紀の川市)の開所式を行った。和歌山工場は、これまで従来のリチウムイオン電池の部品を製造していたが、今後は4680セル生産のマザー工場となり、生産拠点としてだけでなく新製品および新工法の実証拠点としての役割も担う。敷地面積は9万9177m2、建屋面積は6万907m2で、従業員数は2024年度で約400人を見込む。
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