キーサイト新社長は開発部門生え抜きの寺澤氏 「日本の顧客支えたい」:AI/半導体ソリューションの展望語る(2/2 ページ)
キーサイト・テクノロジーの新社長に開発部門出身の寺澤紳司氏が就任した。開発部門出身者が同社の社長に就くのは初めて。就任記者会見ではAI(人工知能)戦略や半導体向けソリューションの展望を語った。
今後はSiC/GaN向けソリューションも投入
AIと並んで重視するのが半導体関連のソリューションだ。半導体パラメトリックテスト事業部でもキャリアを積んだ寺澤氏は「Keysightは上流から下流までを支える幅広いソリューションを提供している」と自信を見せた。
Keysightは2023年、IC設計のデータ管理ソリューションを手掛けるCliosoftを買収し、EDAツールのポートフォリオを拡充した。効果的に設計データやIP(Intellectual Property)を管理/共有することで、設計時間を50%削減できた事例もあるという。
設計やシミュレーションのためのツールとしては「Chiplet PHY Designer」などがある。同ツールはチップレット設計を支援するもので、設計がUCIe規格に準拠しているかどうかを検証できる。2.5D(2.5次元)/3D(3次元)パッケージ内の物理層間の相互接続検証にも対応している。
ワイヤボンディングの検査向けには、静電容量方式を用いた検査装置を提供している。従来のX線を用いた方式では検知できなかった欠陥も捕捉できるという。
半導体向けソリューションの開発のために、キーサイトは東京都八王子市にR&D拠点を構えている。その歴史は、1964年のHewlett-Packard八王子事業所設立から数えると60年にもなる。寺澤氏は、「1980年代に発表した『4145A』『4062UX』などは、今でも『良い製品だった』との言葉をもらう。こうした半導体向けソリューションは八王子生まれだ。日本発の論文や技術が海外で使われることは今でも多いため、日本のコンソーシアムや大学、企業と付き合いを続けてアイデアをもらい、そこから製品を生み出していきたい」と話した。
今後の半導体向けソリューションについては「先端半導体だけでなく、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などを用いた次世代のパワー半導体にも大きな伸びしろと課題がある。日本のパワーエレクトロニクス分野の顧客には世界をリードする企業も多い。新しいソリューションでその発展を支援していきたい」(寺澤氏)と語った。2024年後半には、SiC/GaNなどのパワー半導体に向けた新たなソリューションを発表予定だという。
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