世界半導体市場、24年2Qは1621億ドルで過去最高 NVIDIA好調で:調査対象の50%超は減収も
英国の市場調査会社Omdiaによると、2024年第2四半期の世界半導体売上高が過去最高の1621億米ドルとなったという。NVIDIAの成長がけん引役となった。
英国の市場調査会社Omdiaは2024年9月18日(英国時間)、2024年第2四半期(4〜6月)の世界半導体売上高が過去最高の1621億米ドルに達したとする調査内容を発表した。NVIDIAの好調が主な要因で、これまでの過去最高額である2021年第4四半期の1558億米ドルを63億米ドル上回った。
Intelは調査開始以来、過去最低のシェア
Omdiaによると2024年度第2四半期の半導体売上高は、前四半期比6.7%増の成長を見せた。この伸びをけん引したのはAI(人工知能)需要拡大の追い風を受けるNVIDIAの成長で、同社の半導体売上高は2021年第4四半期と比べると、4倍以上になっているという。
Omdiaの主席アナリスト、Cliff Leimbach氏は、「NVIDIAは引き続き市場シェアを拡大している。力強いAI需要にけん引され、売上高ベースで半導体市場の14.8%を占めるに至った。Intelはこれまで首位か2位だったが、現在、3四半期連続で3位となっている。同社の2024年第2四半期のシェアは7.5%と、Omdiaが半導体市場の調査を開始した2002年第1四半期以来、最低となった」とコメントしている。
上位10社のシェアが64%に
NVIDIAの他、メモリメーカーも特にAIプロセッサ向けの高帯域幅メモリ(HBM)によって、AI需要の恩恵を受けている。Omdiaは、「メモリ市場は需給バランスが改善し、他の分野を後押ししている。市場環境の厳しかった2023年を経て市場は回復し、四半期売上高は現在400億米ドルを超えている」と説明している。
Leimbach氏は「半導体のトップ企業は規模を拡大し、売上高の上位10社で市場全体の64%を占めている。これは過去最高のシェアで、5年間の平均値である57%を7ポイント上回っている。2021年第4四半期と比較すると、市場の拡大がより少ない企業に集中していることが分かる。2021年第4四半期は、上位10社の売上シェアは57%だった」とも述べている。
「全ての企業が恩恵を受けているわけではない」
なお、Omdiaは2024年第2四半期は売上高の記録を更新したが、全ての企業が恩恵を受けているわけではないとも指摘している。
同社によると、2024年第2四半期の半導体売上高は、前年同期比で330億米ドル増となったものの、Omdiaの調査対象企業の50%以上は前年同期比減を記録しているという。Omdiaは、「これは、市場の収益成長が半数の企業には反映されていないことを示している」と説明。追跡している125社の2021年第4四半期と2024年第2四半期業績を比較すると、70%以上は売上高が減少しているという。仮にNVIDIAの売上高を除いた場合、2024年第2四半期の売上高は1382億米ドルとなり、2021年第4四半期の1558億米ドルより176億米ドル低くなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- まだ絶好の買い場!? 株価は下落しても業績は安泰のNVIDIA
NVIDIAの2025年1月期第2四半期業績が発表された。その内容は事前のガイダンス通りだったが、株価は下落した。株価下落はNVIDIAの業績や今後の見通しに大きな変化はない、と見ている。だが、かなりインパクトの大きなニュースとして報道されたので、独自の見解をここで述べておく。 - 推論性能でNVIDIAに挑む AIチップは「省エネ」が競争の軸に
推論ベンチマーク「MLPerf」の最新ラウンドのスコアが公開された。その結果からは、AI用プロセッサの新たな競争の軸が、性能そのものよりも「電力効率」に移りつつあることが読み取れる。 - Intelはどこで間違えた? 〜2つのミスジャッジと不調の根本原因
Intelの業績が低迷している。業績以外でも、人員削減や「Raptor Lake」のクラッシュ問題など、さまざまな問題が露呈していて、Intelが厳しい状況に追い込まれていることが分かる。Intelはなぜ、このような状況に陥っているのか。そこには2つのミスジャッジと、そもそも根本的な原因があると筆者はみている。 - Intelに追い打ちをかける「Raptor Lake」クラッシュ問題 根本原因はいまだ不明
Intelが「Raptor Lake」のクラッシュ問題の対応に追われている。2024年春ごろに露呈し始めたこの問題、実はいまだに根本原因は解明されていない。業績悪化や人員削減など、最近はあまり明るい話題がないIntelだが、クラッシュ問題がそれに追い打ちをかけている。 - 独り勝ちのNVIDIA、中国の対米規制: 2024年上半期の半導体業界を振り返る ―― 電子版2024年7月号
「EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版」の2024年7月号を発行しました。今号のEE Exclusive(電子版限定先行公開記事)は、『独り勝ちのNVIDIA、中国の対米規制: 2024年上半期の半導体業界を振り返る』です。 - 「NVIDIAの時代」の到来 売上高1000億ドル企業の誕生か
NVIDIAが絶好調だ。直近の決算では64.9%という驚異の営業利益率をたたき出している。本稿では、NVIDIAの年間売上高がいずれ1000億米ドルに到達する可能性が高いことを、HBM(広帯域幅メモリ)やインターポーザの進化の視点で解説する。