「QualcommのIntel買収」は非現実的 生き残りの道は:業績低迷で窮地も(3/3 ページ)
業績低迷に苦しむIntelをめぐり、過去最大規模のM&Aのうわさが浮上している。一部の報道によれば、QualcommがIntelに友好的な買収提案を行ったという。だが実際に契約が結ばれたとしても、規制当局が阻止する可能性は高い。さらに、アナリストの中には、投資会社からの資金投入など「Intelは生き残るすべを確保できている」と見る向きもある。
Intelは「生き残るための滑走路を確保できている」
また同氏は、「Intelは、2024年9月に発表した設備投資費削減や営業費用削減、配当停止、政府補助金、パートナー企業の寄付金などにより、2025年末までにバランスシートのキャッシュフローが約400億米ドル増加する見込みだ」と付け加えた。
「Intelは今のところ、生き残るための滑走路を十分に確保できている」(Rasgon氏)
投資会社Apolloは、Intelへのさらなる資本出資に関心を持っているようだ。Apolloは2024年6月に、Intelのアイルランドの新工場「Fab 34」関連の合弁事業体の持ち分49%を110億米ドル相当で買収することを発表した。
Fab 34は、「Intel 4」「Intel 3」の先端プロセスを適用してウエハーを生産する量産工場だ。Intelはこの工場に約180億米ドルを投じている。
Appolloは2024年6月に、「IntelはApolloとの取引により、Fab 34の建設を進めながら、Apolloからの投資の一部を他の事業に再配分できる」と述べている。Bloombergの報道によると、Apolloは2024年9月、Intelに最大50億米ドルの追加投資を提示したという。
カナダの投資会社Brookfield Asset Management(以下、Brookfield)も、Intelの工場に投資している。Intelは2022年、Brookfieldのインフラ関連会社と、Intelの工場建設に向けて共同出資を拡大する契約を締結した。BrookfieldとIntelはこの契約に基づき、米国アリゾナ州チャンドラーの工場「Ocotillo Campus(オコティージョ・キャンパス)」の2棟の工場建設に、約300億米ドルを共同投資した。Intelが総事業費の51%を、Brookfieldが49%をそれぞれ出資したという。
ApolloやBrookfieldのような資産運用会社は、少なくとも18%のROI(投資利益率)を見込んでいるという。
SemiAnalysisのアナリストであるChristopher Seifel氏は、「Intelは、業績の低迷により厳しい戦略的判断を下しているが、米国政府と技術パートナーは、Intelが信頼できるファウンドリーパートナーとして存続できるよう、前向きな解決策を考え出す可能性が高い」と語った。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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