連載
ルーム内に冷却器を追加してラックマウントサーバの冷却能力を高める:福田昭のデバイス通信(473) AIサーバの放熱技術(6)(2/2 ページ)
今回から、データセンターやラックマウントサーバの冷却能力を高める技術を解説する。サーバルーム内に補助となる冷却器を追加する、ラックマウントサーバの排気口で空気を冷やすなどの手法を紹介する。
列内冷却器(In-row Cooler)による冷却能力の向上
既存のデータセンターで最も簡単に冷却能力を高める方法は、サーバルーム内に空調機を追加することだろう。従来と同様に、床下ダクトから低温空気をサーバに送り、天井ダクトから高温空気を回収して冷やすCRAC(Computer Room Air Conditioner)の冷却システムはそのまま利用する。
増設する空調機は「列内冷却器(In-row Cooler)」と呼ばれており、ラックマウントサーバに隣接して配置される(サーバとの間には一定の距離が保持される)。またサーバと列内冷却器の間(天板の高さ)は空気を通さない板状のフィルターを被せる。上部における高温空気と低温空気の混合を防ぐためである。
ラックマウントサーバはCRACによって冷やされた床下からの冷気と、列内冷却器によって冷やされた空気を取り込む。通常の強制空冷システムよりも、冷えた空気をサーバは受け取ることになる。列内冷却器を利用する方式の冷却能力は最大で30kW/ラックとされる。

「列内冷却器(In-row Cooler)」(中央に配置した灰色の柱)によって強制空冷の能力を強化する。なおこの図面ではサーバルーム外の熱交換システムは省いてある[クリックで拡大] 出所:NVIDIAが国際学会Hot Chips 2024のチュートリアルで講義した「Next Generation Cooling for NVIDIA Accelerated Computing」のスライドから
弱点は列内冷却器の増設によってサーバルーム内に配置可能なラックの最大数が減ることだ。従って発熱が特に問題となるラックマウントサーバだけを選んで、列内冷却器を導入することが望ましい。
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