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インドは新しい半導体ハブとなるか 初の300mmファブ建設へ政府が後押し

インドのTata Electronicsと台湾のPSMCは2024年9月、インドでの半導体工場建設を発表した。国内初となる300mmウエハー工場の建設を目指している。これは、世界の半導体業界の主要プレイヤーになるというインドの計画が実現しつつあることを示している。

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 インドのTata Electronicsと台湾のPSMCは2024年9月、インドでの半導体工場建設を発表した。国内初となる300mmウエハー工場の建設を目指している。これは、世界の半導体業界の主要プレイヤーになるというインドの計画が実現しつつあることを示している。

 世界第8位の半導体ファウンドリーであるPSMCは、報道向け発表資料において、110億米ドルを投じインド西海岸のムンバイ近郊のドレラに300mmウエハー工場を建設、成熟技術を導入するとともに現地従業員のトレーニングを行うと説明している。PSMCの社長であるMartin Chu氏とTata ElectronicsのCEO(最高経営責任者)であるRandhir Thakur氏は、インドの首都ニューデリーでこの契約に署名した。Thakur氏はかつて、Intel Foundryのプレジデントを務めていた人物だ。

 プレスリリースによると、インドのナレンドラ・モディ首相は、PSMCの会長であるFrank Huang氏とChu氏との会合の中で、このプロジェクトに対する支援と、インド国内での事業拡大を目指す他の台湾メーカーへの支援を申し出たという。また、インドの電子情報技術大臣であるAshwini Vaishnaw氏もPSMCの経営幹部たちと面会し、支援を約束している。

左から、PSMC プレジデントのMartin Chu氏、同社会長のFrank Huang氏、ナレンドラ・モディ首相、電子情報技術大臣のAshwini Vaishnaw氏、Tata Electronics CEOのRandhir Thakur氏
左から、PSMC プレジデントのMartin Chu氏、同社会長のFrank Huang氏、モディ首相、電子情報技術大臣のAshwini Vaishnaw氏、Tata Electronics CEOのRandhir Thakur氏[クリックで拡大] 出所:PSMC

 PSMCによると、同工場の生産能力は月産ウエハー5万枚ほどになるとみられ、同地域において2万人を超える技術職の雇用機会が創出される見込みだ。

 PSMCのチェアマンであるHuang氏はモディ首相との会談において、「半導体エコシステムには数千社の中小企業が参加する。インド政府は国内の台湾技術メーカーのために環境を整える必要がある」と語った。

 PSMCは、「インドは世界最大の人口大国で、巨大な市場があり、優れた人材がいる。台湾の半導体設計業界とパートナーシップを構築するチャンスがあるはずだ。台湾は、世界最大のパッケージ/テスト企業であるAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)の本拠地でもある」と主張する。

サプライチェーン再編で新たな半導体ファブとなるか

 インドは数十年間にわたって国内における半導体産業の構築を目指してきた。今回のTataとPSMCの提携のほか、2024年9月に初開催された「SEMICON India」にモディ首相と世界の半導体企業の幹部たちが参加したことなどもあって、その勢いを加速させている。

 現在、米中間の技術覇権争いが繰り広げられ、半導体業界がサプライチェーンの再編を進める中、インドは新しい半導体製造ハブとして欠けたピースを埋める可能性を秘めている。

 ホワイトハウスが2024年9月21日(米国時間)に発表した声明によると、米国のジョー・バイデン大統領とインドのモディ首相は、国家安全保障や次世代通信、グリーンエネルギー用途などに向けた高性能センシングや通信、パワーエレクトロニクスなどを製造する半導体工場をインド国内に建設する協定に合意したという。

 その工場ではインド半導体ミッション(ISM)による支援を受け、赤外線/GaN(窒化ガリウム)/SiC(炭化ケイ素)チップを製造する予定だという。バーラト半導体研究センターやインドの半導体設計メーカーである3rdiTech、米国宇宙軍がパートナーとして提携する。

 ホワイトハウスの声明では、投資パートナーや工場の場所などに関する詳細は明らかにされなかった。米国のニュース専門チャンネルであるCNBCによると、このプロジェクトは北インドのジュワール近郊で行われる計画だという。

半導体投資も相次ぐ

 現在、さまざまな多国籍半導体メーカーがインドに投資している。GlobalFoundries(以下、GF)は2024年7月に、インドのTagore Technologyが自動車やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)データセンターのパワーアプリケーション向けに開発したGaN IP(Intellectual Property)ポートフォリオを買収した。この買収により、Tagore TechnologyのエンジニアチームがGFに加わることになる。GFは、インドへの投資を継続していく予定だとしている。

 同年9月にはTata GroupとAnalog Devicesが、製造パートナーシップの可能性を模索するための戦略的提携を発表した。

 ロイター通信が同年9月6日に報じたところによると、イスラエルのTower SemiconductorとAdani Groupは、インド西部のマハーラーシュトラ州の半導体プロジェクトに100億米ドル相当を投じる予定だという。

 Micron Technologyは2023年に、インドのグジャラート州に組み立て/テスト工場を建設する計画を発表した。この工場は2024年後半に稼働し、国内外市場向けのDRAM/NAND製品のパッケージングとテストを行う予定だ。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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