「第2章:注目すべき市場と電子機器群」の前回版と今回版の違い:福田昭のデバイス通信(483) 2024年度版実装技術ロードマップ(3)
「2024年度版 実装技術ロードマップ」の「第2章:注目すべき市場と電子機器群」における、前回版との主な違いを紹介する。
新年度版ごとに改訂を加えてきたロードマップ
電子情報技術産業協会(JEITA)が2年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2024年度版 実装技術ロードマップ」(PDF形式電子書籍)を2024年6月に発行した。既に6月11日には、ロードマップの完成報告会を東京で開催している(本コラムの第462回で既報)。
本コラムではこのほど、ロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、前回の2022年度版に続いて今回の2024年度版も概要をご紹介できるようになった。この場を借りて同委員会の皆さまに深く感謝したい。
「実装技術ロードマップ」は1999年度版から始まり、2年ごとに改訂版を発行してきた。2019年度版までは順調に改訂が進んだものの、2020年〜2021年のコロナ禍によって2021年の改訂版発行が困難となり、発行は2022年度版にずれこんだ(2022年度版の概要は本コラムの第377回から第461回まで、シリーズ連載でご報告した)。そしてコロナ禍が収束したことで、再び2年ごとの改訂版発行が可能となった。
すなわち前回版は「2022年度版」、今回版は「2024年度版」となる。ロードマップの本論を構成する「第2章:注目すべき市場と電子機器群」は新年度版の発行ごとに、改訂を加えてきた。そこで前回版(「2022年度版」)から今回版(「2024年度版」)への主な変更点を以下に述べていく。
「注目すべき市場と電子機器群」では「低侵襲機器」や「光伝送」などを新たに紹介
始めは「節」の構成から見ていこう。前回版(「2022年度版」)では「第1節 ヒューマンサイエンス」「第2節 情報通信」「第3節 モビリティー」「第4節 新技術・新材料・新市場」の4つの節で第2章を構成した。今回版(「2024年度版」)では、第1節を前回版から拡張し、「第1節 メディカル・ライフサイエンス」に変更した。その他の節に名称の変更はない。
「第2章:注目すべき市場と電子機器群」に登場する電子機器。赤色の枠が「メディカル・ライフサイエンス」、水色の枠が「情報通信」、黄緑色の枠が「モビリティー」、紫色の枠が「新技術・新材料・新市場」に対応する。なお横軸は機器の大きさ(外形寸法)、縦軸は実装密度を示す[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2024年6月11日に開催された完成報告会のスライド)
「第1節 メディカル・ライフサイエンス」では「低侵襲機器」「ウェアラブル端末」「検査機器と研究機器」「バイオセンサ」を各項目として取り上げた。前回版からの継続が「ウェアラブル端末」「検査機器・研究機器」「バイオセンサ」である。前回版で採用したが今回版で取りやめたテーマは「介護・ロボット」と「脳科学とBMI」、今回版で新たに採用したテーマは「低侵襲機器」だ。
「第2節 情報通信」では「次世代通信技術5G/6G」「光伝送」「モバイルデバイス」「AR/MR/VR(メタバース)」を解説した。また今回版では新たに「光伝送」を採用した。
「第3節 モビリティー」では「自動運転・遠隔操作」と「電動化技術(インバータ、EV、インフラ、空のモビリティーなど)」を紹介した。項目そのものは前回版と変わらない。
「第4節 新技術・新材料・新市場」では「量子技術」「次世代パワー半導体(GaNデバイス)」「ワイヤレス給電」「ロボット」「エネルギー」を取り上げた。
(次回に続く)
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