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カメラ1台で4波長を取得 ウエハー表面と配線を同時に確認「SEMICON Japan 2024」

ソニーセミコンダクタソリューションズは「SEMICON Japan 2024」にて、可視光からSWIR(短波長赤外)光まで複数の波長情報を1台のカメラで取得できる「普及型分光カメラ」を紹介した。

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 ソニーセミコンダクタソリューションズは「SEMICON Japan 2024」(2024年12月11〜13日、東京ビッグサイト)にて、可視光からSWIR(短波長赤外)光まで複数の波長情報を1台のカメラで取得できる「普及型分光カメラ」を紹介した。

ソニーセミコンダクタソリューションズが提案する「普及型分光カメラ」の構造
ソニーセミコンダクタソリューションズが提案する「普及型分光カメラ」の構造[クリックで拡大]

 同社が提案する普及型分光カメラは、SWIRイメージセンサーにマルチバンドフィルターを装着したものだ。同社のSWIRイメージセンサーは可視光を含む400〜1700nmの広帯域撮影に対応している。マルチバンドフィルターは、1275nmや1450nmといった特定の波長のみを透過するフィルターを複数種類並べたものだ。この組み合わせによって、複数の波長情報を1台のカメラで同時に取得できる。

 普及型分光カメラでは、例えば4波長のマルチバンドフィルターを用いるとすると、1つのイメージセンサーの画角を各波長で4分割して撮影することになる。そのため、1枚のみ撮影するのではなく、ベルトコンベヤーなどで撮影対象を移動させながらスキャンするように連続撮影する方法が適しているという。連続撮影した画像をつなぎ合わせれば、各波長の広範囲の画像が得られる。

ラインスキャンカメラのように使用できる
ラインスキャンカメラのように使用できる[クリックで拡大]

価格/設置スペースを大幅に抑制

 従来、複数波長の画像を取得するためには、各波長で1台カメラを用意するか、マルチスペクトルカメラを用いる必要があり、いずれも価格が高くなる、設置スペースが大きくなるという課題があった。対して普及型分光カメラは価格/設置スペースをともに抑えられる。さらに、マルチスペクトルカメラは多くの波長を取得できるメリットがどの波長を使うかという選定の難しさにもつながるが、普及型分光カメラはあらかじめ利用目的に最適な波長が選定されているため導入が簡単だ。

マルチスペクトルセンシングの実現方法の比較
マルチスペクトルセンシングの実現方法の比較「普及型分光カメラ」の構造[クリックで拡大] 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

ウエハー表面と裏面を同時に観察

 普及型分光カメラは、半導体製造ではウエハーの検査などに利用できる。Si(シリコン)を透過する波長と透過しない波長を組み合わせれば、ウエハー表面の傷や印字を確認しながら、同時に裏面の配線やアライメントマークを観察できるという。

普及型分光カメラで半導体デバイスを観察する様子普及型分光カメラで撮影した半導体デバイス 普及型分光カメラで半導体デバイスを観察する様子と実際に撮影した画像[クリックで拡大]

 他には、タンパク質/脂質/水分のそれぞれを検知できる波長を組み合わせてナッツの実と殻を判別するなど、食品検査にも適する。

 ソニーセミコンダクタソリューションズのSWIRセンサーを搭載した普及型分光カメラは、各メーカーから販売されている。

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