航空電子、ノイズの影響を抑える車載AOCを開発:ゾーンアーキテクチャの実装見据え
日本航空電子工業は、車載ネットワークにおいてノイズの影響を最小限に抑え、大容量で長距離伝送を可能にする車載AOC(Active Optical Cable)を開発した。自動車やECUのメーカーに対し、2025年2月より試作品の貸し出しを始める。
光源に量子ドットレーザーを採用、高温環境下でも使用可能
日本航空電子工業は2025年1月、車載ネットワークにおいてノイズの影響を最小限に抑え、大容量で長距離伝送を可能にする車載AOC(Active Optical Cable)を開発したと発表した。自動車やECUのメーカーに対し、2025年2月より試作品の貸し出しを始める。
近年の自動車開発において、「ゾーンアーキテクチャ」の実装が始まっている。これまでは特定の「機能」に基づいてECU(電子制御ユニット)をドメインごとに配置する「ドメインアーキテクチャ」が主流であった。これに対し、ゾーンアーキテクチャでは、「場所」ごとに通信や負荷制御を体系化する。
こうした中、自動運転車の実用化に向けて、各種センサーやアクチュエーターなどの搭載個数は格段に増え、車載ネットワークで伝送されるデータ量も膨大となる。その上、高い安全性を実現するには、ノイズの影響によるデータの欠落や遅延などを最小限に抑える必要がある。
これらの課題解決に向けて開発したのが車載AOCである。光源に量子ドットレーザーを用いることで、105℃という高温環境下でも使用可能な光伝送ネットワークを提供する。送信側と受信側のいずれも、50Gビット/秒(25Gビット/秒×2レーン)という大容量伝送が可能である。
新製品は、自動車を始め通信機器や産業機器、医療機器、通信衛星機器、半導体製造装置などの用途に提案していく。
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