NXPが車載ソフトウェアのTTTech Auto買収へ 6億2500万ドル:SDVへの対応力強化
NXP Semiconductorsが、オーストリアの車載ソフトウェアベンダーであるTTTech Autoを6億2500万米ドルで買収すると発表した。
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2025年1月7日(オランダ時間)、オーストリアの車載ソフトウェアベンダーであるTTTech Autoを6億2500万米ドルで買収すると発表した。各国規制当局の承認を得た後、TTTech Autoの経営陣や知的財産、資産、約1100人の従業員がNXPのオートモーティブチームに加わる予定だ。
NXPは「ソフトウェアデファインドビークル(SDV)で必要とされるシステム、セーフティ、セキュリティを専門とする大手ソフトウェアソリューションプロバイダーの買収によって、オートモーティブ事業を強化する」と説明している。
TTTech AutoはSDV向けのセーフティクリティカルなシステムの開発およびミドルウェア開発を手掛ける企業で、TTTech Groupからスピンアウトする形で2018年に設立された。設立時にはAudiやInfineon Technologies、Samsung Electronicsが出資している。TTTech Autoが展開するミドルウェアプラットフォーム「MotionWise」は、車載向け高性能コンピューティングプラットフォームにおけるソフトウェアデプロイメントの自動化機能を搭載。SDVのシステム統合を確実に管理できるように設計されていて、セーフティクリティカルな機能の動作を最優先としながら、シームレスな機能の統合も確保している。
NXPは2024年3月、自動車メーカーのSDVへの迅速な移行をサポートする「NXP CoreRideプラットフォーム(以下、CoreRide)」を発表している。CoreRideは、NXPの「S32」車載プロセッサファミリーおよびネットワーク製品、システムパワーマネジメント製品を包括する「業界初」(同社)のオープンSDVプラットフォームだ。NXPは「(CoreRideは)ハードウェアとソフトウェア統合における障壁を克服し、複雑性の軽減、高い拡張性、コスト低減を目的として構築されている。ハードウェアで高い経験値を持つNXPに、ソフトウェアの専門知識を持つTTTech Autoが加わることで、自動車メーカーがSDVを構築できるユニークなプラットフォームを提供可能になる」としている。
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