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地政学的リスクや政策転換を乗り越え、成長を加速するDigiKeyの事業戦略DigiKey社長 Dave Doherty氏

米大手ディストリビューターDigiKeyは、2024年も出荷数および顧客数を着実に伸ばし、事業拡大を続けている。同社は地政学的リスクや関税政策の変化に対応しながら、2025年の市場を前向きに捉え、さらなる成長を目指すとしている。今回、DigiKey社長であるDave Doherty氏に2024年の取り組みと2025年の事業戦略を聞いた。

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出荷数・顧客数は日々増加、新たな成長の兆し

――2024年の業績はどうでしたか?

Dave Doherty氏 収益は前年比で減少したが、これは2023年にサプライチェーンの制約を背景とした異例の大規模受注の反動によるもので、想定通りの結果だ。出荷数および顧客数は年間を通じて日々増加した。この成長は2025年に向けて良い兆候だと考えている。

 DigiKeyが展開するオンライン販売プラットフォーム「DigiKeyマーケットプレイス」や、インターコネクト、産業オートメーションを含め、多くの事業分野では収益増を記録した。APAC(アジア太平洋地域)のビジネスは落ち込みも回復も早いという特性があるが、直近ではAPACに一定の成長が見られ、これが新たなアップサイクルの兆しだと期待している。

 また、業界全体が減速する中、需要喚起のため新製品開発やソリューション革新が活発化し、そうした活動がDigiKeyでの購買意欲を高め、顧客数および出荷数の飛躍的な増加につながった。現在、少量多品種の出荷が増加し、新製品開発のための試作や少量生産という次の活動サイクルに入っている。これは歴史的に、業界全体の力強い収益成長や大量生産のサイクルに続くものだ。DigiKeyが非上場企業であることの最大の強みは、市場のダウンサイクルに計画的に備え、長期的な戦略に基づいて事業を展開できることだ。

日本市場で登録輸入者制度を導入、通関手続きや関税支払いなど不要に

――DigiKeyは2024年にも多くの製品とサプライヤーを追加しました。これはどのような顧客のニーズによるものでしょうか?

Doherty氏 DigiKeyは、業界トップクラスの豊富な在庫数を保有しており、その多くを米国ミネソタ州の自社倉庫に常時在庫し、即時出荷している。3000を超える優良メーカーによる1590万点以上の電子部品や製品を取り扱う。加えて、サプライヤーから直接提供する「DigiKeyマーケットプレイス」を通じて、1400を超えるサプライヤーから360万点の非在庫保有製品も拡充している。

 当社のビジネス基盤は、多数の電子部品をオンラインで一括購入でき、国内配送と変わらないスピードで全世界に届けることにある。顧客からは、市場投入までの時間を短縮したい、より幅広い製品と最新技術を提供してほしいという声が寄せられている。当社は一貫して、在庫の幅と深さ、そして提供する高レベルな価値と顧客サービスのバランスを保つように努めている。

提供:DigiKey
提供:DigiKey

――2024年に取り組んだ主な事業戦略を教えてください。

Doherty氏 2024年における主な成果の1つは、日本市場での「登録輸入者(Importer of Record:IOR)」制度導入だ。当社は輸入品が日本の法律を順守していることを保証し、日本の顧客は通関手続きや関税および輸入消費税を含む諸費用の支払いが不要になった。これにより、顧客は設計および調達ニーズを支えるDigiKeyの業界最高水準の幅広い製品に、これまで以上にスムーズにアクセスできる。

 さらには、堅牢で予測能力の高いWeb検索機能、在庫水準の向上、そして自社倉庫の自動化の強化への投資を継続している。これらの取り組みは、効率的な部品検索、簡単な部品購入、迅速な配送を可能にし、サービス体制強化につながっている。これこそが、新規設計を行う世界中の顧客にとってDigiKeyを最初に選ぶ理由となっている。

専任チームが輸入ソリューションを開発、新たな関税の監視・評価を継続

――懸念される地政学的リスクにDigiKeyはどう対応していますか?

Doherty氏 関税政策などへの対処は、今後の変化次第によっては困難な場合もあるが、当社の専任チームがサプライヤーパートナーと協力して輸入ソリューションを開発している。また、新たな関税や規制を継続的に監視・評価することで、影響を最小限に抑え、顧客にも情報を提供している。

 米国ミネソタ州に設立した米国最大規模の自由貿易地域(FTZ)を活用することで、中国からの関税の影響を受けない日本への製品出荷を実現している。この仕組みを継続的に強化しており、当社が中国や米国から輸出する製品に対する関税への厳格な管理を支えている。

2025年は回復基調

――2025年の市場の見通しや事業戦略について教えてください。

Doherty氏 2025年の市場を前向きに捉えている。世界的に顧客数が増加する中、既存サプライヤーに加え、新規サプライヤーの新製品導入も活発化している。

 当社は2025年も継続して、システムのアップグレードや多様なオンラインサービスやツール、ビジネスソリューションの提供を通じて、顧客がセルフサービス(自己解決)を活用し、業務効率をさらに向上できる環境を整備していく予定だ。

 また、日本市場への最適なサポート提供を目指し、さまざまなチャンネルを通じて顧客のニーズを的確に把握して、革新的なソリューションを提供していく。具体的には、一定価格での部品提供に加え、法人顧客向けの信用口座取引、部品表管理ツール「myLists」、注文書自動マッピング機能、出荷予約、APIなどのデジタルソリューションを活用し、調達DXの実現に向けたサポートをさらに拡大していく。

提供:DigiKey
提供:DigiKey

――日本市場について何を期待していますか?

Doherty氏 日本市場はDigiKeyの事業進化において、常に特別な位置を占めている。過去数年間、当社は日本市場への継続的な投資を通じて、明確なコミットメントを示してきた。日本における顧客やサプライヤーとの関係をさらに強化すべく、営業およびマーケティングのリソースを積極的に増強している。また、エンジニア育成を目的とした動画シリーズを数多く展開する「DigiKey日本公式YouTubeチャンネル」やオンライン技術フォーラム「TechForum」、さらにはオンラインウェビナーなどは、日本の顧客から特に高い評価をいただいている。

 2025年も日本の顧客に高品質なサービス迅速な出荷体制を提供し、期待を超える体験をお届けしたいと考えている。



提供:DigiKey
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2025年2月15日

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