「他社製との互換性追求」したArF液浸露光装置、ニコンが28年度に:主要半導体メーカーと共同開発
ニコンは、主要半導体メーカーと共同で新たなプラットフォームを採用したArF液浸露光装置シリーズの開発を進めていて、2028年度にプロトタイプを納入する予定だ。
ASMLが圧倒的なシェアを有するArF液浸露光装置市場で、ニコンが大幅なシェア向上に向けた計画を進めている――。
ニコンは、主要半導体メーカーと共同で新たなプラットフォームを採用したArF液浸露光装置シリーズの開発を進めていて、2028年度にプロトタイプを納入する予定だ。同装置は、リソグラフィ工程における利便性を考慮し「半導体メーカーで広く利用されている他社製のArF液浸露光装置」(ASMLを指すとみられる)との互換性を追求したもので、今後も拡大が続くことが予測される同装置市場において、大幅なシェア向上を狙う。
2030年以降に後継機種開発も計画
ニコンが2025年2月6日に開催した2024年度第3四半期決算説明会の中で公表した。同社は特長として、小型プラットフォームや新投影レンズ、新ウエハーステージ採用などを挙げている。競合装置との優位性などに関する質問には「高速で動く新開発のステージ、メンテナンス時間の短縮などの利便性改善、『他社ArF液浸露光装置』との互換性確保など、顧客ニーズを踏まえた開発を行っている」と回答している。
ニコンは2028年度、共同開発をしている主要半導体メーカー(具体名は明かしていない)に、この新プラットフォームArF液浸露光装置のプロトタイプを納入する予定だ。さらに2030年以降に、後継機種の開発も計画しているという。
同社は2028年以降、DRAMおよびロジックの3D化に伴って同装置の需要が拡大すると見ていて、大幅なシェア向上を狙う。ターゲットやシェア目標としては「いわゆる半導体メーカーのBIG3(Intel、Samsung、TSMC)を含む幅広い顧客に利用してほしい。市場シェアは、当社のArFドライ露光装置並みを目指す」としている。

参考:2022年の露光装置の種類ごとの企業別出荷台数[クリックで拡大] 出所:連載『湯之上隆のナノフォーカス(63):日本の前工程装置のシェア低下が止まらない 〜一筋の光明はCanonの戦略』の図表から。データ元は三菱UFJモルガンスタンレー証券
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ナノインプリント装置や開発中のArF露光装置など紹介 キヤノン
キヤノン、キヤノンアネルバ、キヤノンマシナリーは、エレクトロニクス製造の国際展示会「SEMICON Japan 2024」に出展する。ブースではナノインプリント半導体製造装置などの前工程向け装置から先端パッケージングに対応する後工程向け装置まで、幅広い製品ラインアップを紹介する予定だ。L/S 1μmを実現するマスクレス露光装置 ニコンが開発へ
ニコンが、アドバンストパッケージ向けに、1μm(L/S)の高解像度を実現するマスクレス露光装置の開発を進めている。2026年度中の発売を予定しているという。半導体製造装置でも躍進する中国 日本はシェア低下を止められるのか
半導体製造の前工程において、日本の半導体製造装置メーカーのシェア低下が止まらない。代わって躍進しているのが中国メーカーである。今回は、半導体製造装置のシェアの推移を分析し、中国勢が成長する背景を探る。キヤノン、NIL技術を用いた半導体製造装置を発売
キヤノンは、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を用いた半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発売した。最小線幅14nmのパターン形成が可能で、マスクを改良すれば最小線幅10nmレベルにも対応できるという。驚異的な成長で装置メーカートップに躍り出たASML 背景にEUVと中国の「爆買い」
現在、EUV(極端紫外線)露光装置の唯一のサプライヤーであるオランダASMLの売上高が「絶好調」だ。本稿では、ASMLの過去3年間の売上高を分析し、ASMLの成長の変曲点を特定する。さらに、今後のASMLの成長を展望する。L/S 500nm目指す imecが挑む2.5D/3D実装技術
imecは、業界で関心が高まっている2.5D(次元)/3Dインテグレーション技術の研究開発を加速している。EE Times Europeが、imecのシニアフェローに開発の進捗を聞いた。