ついにAIサーバに、次は車載へ GaNパワー半導体で攻めるローム:高出力領域で拡大へ(2/4 ページ)
急速な成長を続ける窒化ガリウム(GaN)パワー半導体市場での展開で、ロームが新たな段階に入った。これまでは民生機器向けが中心だったが、AIサーバ用電源ユニットに初採用されたことを皮切りに、車載などのハイパワーアプリケーションでの採用拡大を狙う。
GaN採用で重視される「3つの課題」
ロームは、今回のAIサーバ用電源での採用を実現した理由として「業界トップレベル」(同社)とするGaN HEMT自体の性能と同時に、「価格」「設計難易度」「信頼性」というGaNパワーデバイス採用において重視される3つの課題に対する同社の取り組みが評価されたものだと説明する。
同社の独自調査において、この3つの課題が今後のGaNデバイス採用において特に重視されていることが確認できたといい、GaNデバイス展開ではこれらの課題への対応に注力し競争力を強化していく方針だ。
システムとして低コスト化&素子の性能向上
具体的に、まず既存のシリコンパワー半導体と比較しGaN HEMT自体の価格が高い、という課題があるが、これについて樋口氏は「ロームはドライバー、コントローラーおよびGaN HEMTという3つの要素を組み合わせたソリューションを提供し、トータルのシステムとして従来よりBOM(部品表)を下げ低コスト化を実現する」と説明する。
具体例として挙げた330W AC-DC回路においては、GaNデバイスを用いトーテムポールPFC回路を導入した場合、従来型PFC回路およびアクティブブリッジPFC回路と比較し部品数が削減でき、全体のシステムコスト低減と同時に大幅な小型化が実現できるとしている(下図)
同時に既報の通り、GaN HEMTの性能向上も継続。2025年に量産開始予定の第3世代650V耐圧GaN HEMTは、現在最新世代の第2世代から大幅にQossを削減していて、チップサイズの小型化にもつながることから、コストダウンが見込まれる。樋口氏は「今後さらに第4世代、第5世代と性能も随時上げていき、それに伴いデバイス価格も下がっていくだろう」と説明。また同社は、現在6インチで製造するGaNパワーデバイスについて、2026年に8インチ化することも計画している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.