Matter対応ワイヤレスSoCを発売、高い演算性能を実現:専用コアで高度なAI/ML処理
シリコン・ラボラトリーズ(以下、シリコン・ラボ)は、スマートホーム規格である「Matter」に対応したワイヤレスSoC「MG26シリーズ」の一般販売を始めた。従来品に比べ、AI/機械学習(ML)処理能力に優れ、高いセキュリティ機能を備えている。
「Zigbee」と「Matter over Thread」を同時に実行
シリコン・ラボラトリーズ(以下、シリコン・ラボ)は2025年3月、スマートホーム規格である「Matter」に対応したワイヤレスSoC「MG26シリーズ」の一般販売を始めた。従来品に比べ、AI/機械学習(ML)処理能力に優れ、高いセキュリティ機能を備えている。
MG26シリーズは、「Arm Cortex-M33」CPUコアおよび、無線やセキュリティサブシステム用の専用コアを搭載することで高い演算性能を実現した。また、従来のMG24シリーズに比べ2倍のフラッシュメモリやRAM、GPIO容量を集積した。これにより、高度なエッジアプリケーションにも対応でき、大規模なMLワークロード処理も可能となる。
例えば、AI/MLハードウェアアクセラレーションを内蔵したことで、MLアルゴリズム処理は、CPUで実行する場合に比べ、電力消費を6分の1に抑えながら、最大8倍も高速に処理できる。しかも、シリコン・ラボが提供する「AI/ML Developer Journey」を活用すれば、この処理能力を活用するための新たなモデルも容易に構築できるという。
また、「Silicon Labs Secure Vault」と「Arm TrustZone」による高度なセキュリティ機能により、全てのMatterセキュリティ要件に準拠しているという。シリコン・ラボが提供するカスタム部品製造サービス(CPMS)を利用すれば、ユーザーのMatterデバイス認証証明(DAC)やセキュリティキー、その他機能を製造工程中にオンデマンドでプログラムできる。
同時マルチプロトコル機能も特長の1つである。「Zigbee」と「Matter over Thread」を同時に実行できる。これにより、住宅やビルに設置された、プロトコルが異なるエコシステムにつながる多くの機器を制御することが可能となる。
もちろん、RF性能対エネルギー効率比にも優れている。極めて小さいTX電流やRX電流、スリープ電流で、最大+19.5dBmの送信電力と最高レベルの受信感度を達成している。
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