組み込み開発を加速するプラットフォーム ADIが拡張版を発表:開発効率とセキュリティを向上
アナログ・デバイセズ(ADI)は、組み込みソフトウェア開発プラットフォームの拡張版「CodeFusion Studio(CFS) System Planner」を発表した。ヘテロジニアスデバイスにおけるプロジェクト作成やリソース分割などが容易になる。
データ・プロビナンス・ソフトウェア開発ソリューションも発表
アナログ・デバイセズ(ADI)は2025年3月、組み込みソフトウェア開発プラットフォームの拡張版「CodeFusion Studio(CFS) System Planner」を発表した。ヘテロジニアスデバイスにおけるプロジェクト作成やリソース分割などが容易になる。また、スタック全体にわたるデータの信頼性とトレーサビリティを確保できる「データ・プロビナンス・ソフトウェア開発ソリューション」も併せて発表した。
組み込みデバイスは、集積するコア数や処理性能などが飛躍的に向上している。これに伴い、搭載するソフトウェアも大規模かつ複雑となってきた。このため、複数チームでの開発や、より厳しいセキュリティ対応が求められている。
CFSは、Microsoft Visual Studio Code(VS Code)に基づく組み込みソフトウェア開発プラットフォームで、ADI製の組み込みプロセッサやマイクロコントローラ向けに最適化されている。その拡張版であるCFS System Plannerは、複数コアにまたがる柔軟なプロジェクト作成や、メモリやペリフェラルのグラフィカルなリソース割り当てを可能にした。概念実証(POC)も迅速に行うことができる。
特定コアで用いられるRTOSやファームウェアを認識し、コアに割り当てられたペリフェラルや、メモリブロックのコンテキストアウェア型コンフィグ設定を公開する「コンフィグツール」も含まれている。
さらに、プラグインベースのプロジェクト作成システムを介して、開発者が必要とするコードを生成できる。ユーザーは、プロジェクト作成とコンフィグ用のプラグインを複製し、要件に合わせて変更することができる。
これらプラグインシステムの静的ファイルは、特定場所の文字列を置き換えることで変更され、コード生成ロジックはJavaScriptやTypeScript関数で拡張できるという。メモリのリソースをパーティション分割し各コアに割り当てるグラフィカルユーティリティも用意されている。
今回は、データ・プロビナンス・ソフトウェア開発ソリューションも同時に発表した。シグナルチェーンデータのトラストフレームワークを確立し、エッジ側で作成されたデータが、完全性や真正性を保持し、その忠実性を維持できるよう保証するという。
拡張版CFSソリューションの早期アクセスキットとソフトウェアは、ADIのウェブサイトから2025年4月25日からダウンロードできる。
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