ディスコの24年度は増収増益、5期連続で過去最高更新:25年度1Qも出荷額は高水準を予想(2/2 ページ)
ディスコの2024年度通期(2024年4月〜2025年3月)業績は、売上高が前年同期比27.9%増の3933億円、営業利益が同37.3%増の1668億円、利益率が42.4%といずれも過去最高を更新した。生成AI向けなどが引き続き堅調に推移した。
出荷額予想は高水準維持、生成AI需要引き続き強い
ディスコでは、顧客の投資意欲が短期間で激しく変動し需要予測が困難なため2018年から業績予想の開示は1四半期先までとなっている。今回開示した2025年度第1四半期の業績予想では、売上高が前年同期比78億円減の750億円、営業利益は同96億円減の238億円とした。
ただこれは、前四半期に検収が大きく伸長したことが大きな要因だといい、市場動向との連動性が高い出荷額については、前年同期比9億円増の1020億円と予想。また想定為替レートは1米ドル=135円で設定していて、仮に為替が前四半期からフラットに推移した場合(1米ドル=151円で着地)、出荷額は1100億円程度となる見込みだという。同社は「生成AI関連を中心とした需要を見込んでいるが、足元では関税政策の動きもあり、最終製品の需要動向や顧客の投資意欲の変化などを注視していく必要がある」と説明していた。
米国の関税政策に関して、同社の説明担当者はさらに「米国向け売り上げは全体の10%前後で、生産は全て日本国内で実施している。当社の製品と同等もしくは同様の製品を供給する米国メーカーはいないと認識している。商流は当社は顧客への直接販売が多く、米国向けでは米ドル建ての販売が多い。そして最終需要がどうなるかについては、顧客である半導体メーカーの投資意欲にどう影響してくるかが重要な点だ。これらのポイントが今後どのように影響、変化してくるかを注視している」などと語っていた。なお、関税を受けた米国や海外への生産拠点設置は検討はしていないという。
研究開発費および設備投資については、2024年度、研究開発用不動産の購入を実施した結果、設備投資額は過去最大の698億円となった。また、将来の生産体制増強のため、広島県呉市の広島事業所で新工場の建築を決定した(以下記事参照)
2025年度の設備投資額は330億円程度の見込みで、2026年度以降も年間300億円を超える設備投資を継続する見通しだ。研究開発費は、2024年度実績は316億円で、2025年度は約320億円を見込んでいる。
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