自動車通信システムの国際標準に合わせた周波数割り当ての再編成:福田昭のデバイス通信(498) 2024年度版実装技術ロードマップ(18)(1/2 ページ)
今回は、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の無線通信用周波数帯域の再編成について解説する。
日本のITS用無線通信では従来、760MHz帯を使用
電子情報技術産業協会(JEITA)が2年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2024年度版 実装技術ロードマップ」(PDF形式電子書籍)を2024年6月に発行した。既に6月11日には、ロードマップの完成報告会を東京で開催している(本コラムの第462回で既報)。
本コラムではこのほど、ロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、前回の2022年度版に続いて今回の2024年度版も概要をご紹介できるようになった。この場を借りて同委員会の皆さまに深く感謝したい。
上記の経緯を経て、本コラムの第482回から、2024年度版のロードマップ概要をシリーズで報告している。第494回からは、「2.4.2 自動運転・遠隔操作」の内容紹介を始めた。同項目は、「2.4.2.1 開発動向」と「2.4.2.2 要素技術」の2つのパートで構成される。最初のパートである「2.4.2.1 開発動向」は、「(1)自動運転レベルの定義およびAD/ADAS搭載オーナーカーの上市状況」「(2)自動運転に関する法規制整備状況」「(3)国内外のサービスカーの動向」「(4)通信技術と自動運転の最新動向」「(5)スマートシティ」から成る。
前々回からは、「2.4.2.1 開発動向」の「(4)通信技術と自動運転の最新動向」に相当する部分をご報告してきた。前々回と前回では、自動車が搭載する通信技術の従来動向と、「自律型自動運転」に関連する要素技術、「協調型自動運転」に関連する通信技術をご説明した。
今回は前回の末尾で予告したように、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の無線通信用周波数帯域の再編成について述べる。
国際電気通信連合は5.9GHz帯をITS用無線周波数として勧告
前回でも述べたように、V2X(Vehicle-to-Everything)通信をはじめとする高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)には周波数帯域として当初、760MHz帯(755MHz〜765MHzの幅10MHz)が日本国内で使われていた。
しかし国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R:International Telecommunication Union Radiocommunication Sector)がITS用の周波数帯域として5850MHz〜5925MHz(5.9GHz帯)の全て、あるいは一部の利用を考慮すべきとの勧告を出したことから、日本でも5.9GHz帯へのITS用周波数割り当てを検討することとなった。
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